「新卒や中途の一次面接でAIを使う企業が出てきているらしい」。そんなニュースを目にした記憶がある一方で、「AI面接って、結局ただのチャットボットなの?」「録画面接と何が違うの?」と、実態がつかみにくいのも事実です。
本記事では、AI面接の実態を徹底検証。実際の体験談や公式情報、第三者機関の調査データをもとに、AI面接の種類から企業の導入理由、候補者が知っておくべきポイントまでを網羅的に解説します。
- AI面接は本当に増えているのか?――データで見る普及状況
- AI面接は「AIが面接官をする」だけじゃない――3つの代表タイプを理解する
- 体験談で見える「AI面接っぽさ」の正体――時間制限と”構造化”の影響
- 企業はなぜ一次面接をAIに寄せるのか?――効率化だけじゃない導入理由
- 「AIチャットボット型」と「それ以外」の違いを候補者目線で整理する
- 候補者が準備すると効くのは「話のうまさ」より”構造と環境”
- AI面接の評価項目――何を、どう測っているのか?
- AI面接サービスの選び方――企業担当者が押さえるべきポイント
- AI面接の未来――採用以外への展開可能性
- 2026年現在、日本で最も利用されているAI面接サービスは?
- よくある質問(Q&A)
- まとめ――AI面接は「新しい選考設計」の一部
AI面接は本当に増えているのか?――データで見る普及状況

まず押さえておきたいのは、「AI面接の導入は本当に増えているのか」という点です。
時事通信が2025年3月に発表した調査によれば、主要100社を対象にしたアンケートで、採用活動で人工知能(AI)を導入する企業が約3割に上ったことが明らかになっています。面接や書類選考での活用が進んでおり、今後も増加傾向にあると見られています。
さらに具体的なデータもあります。対話型AI面接サービス「SHaiN」を提供する株式会社タレントアンドアセスメントによれば、導入企業数は2025年12月3日現在で927社に達し、1日1社のペースで増加しています。これまでの延べ受検者数は14万8,477人にのぼります。労働政策研究・研修機構(JILPT)の取材記事では、この驚異的な成長の背景にある技術と企業ニーズが詳しく紹介されています。
つまり、「AI面接が増えている」というのは感覚的な話ではなく、データで裏付けられた事実なのです。この背景には、労働人口の減少による採用競争の激化、働き方改革による人事部門の業務効率化ニーズ、そしてコロナ禍を経てオンライン選考が一般化したことなど、複合的な要因があります。
AI面接は「AIが面接官をする」だけじゃない――3つの代表タイプを理解する

AI面接と一口に言っても、実は大きく分けて3つのタイプが存在します。候補者から見ると同じ「AIと面接」でも、裏側の設計思想や評価の出し方、候補者体験(Candidate Experience)は大きく異なります。
タイプ1:対話型(AIチャットボット型)
候補者の回答に応じて、AIがその場で追加質問をしていくタイプです。いわゆる「チャットボット面接」というイメージに最も近いかもしれません。ただし、一般的な雑談チャットボットではなく、面接のために質問設計(構造化面接)や評価項目が組み込まれています。
代表的なサービスが「SHaiN」です。JILPTの取材記事によれば、SHaiNではAIが質問し、回答に対して掘り下げ質問を重ね、評価レポートまで作成します。面接時間は通常45分程度で、発言はテキスト化・分析され、短時間でレポートとして返されます。
このタイプの最大の特徴は、候補者の回答内容に応じて質問が動的に変化する点です。マニュアル的な質問の羅列ではなく、人間の面接官のように「それはどういう意味ですか?」「その時あなたはどう感じましたか?」といった掘り下げが自然に行われます。
また、企業の課題解決に特化したAIチャットボットとしては、デジタルレクリム株式会社の「AIスミズミ」のように、顧客対応や社内問い合わせに対応するサービスもあり、採用以外の場面でもAI対話技術の応用が進んでいます。
実際にJALの選考でSHaiNを使ったAI面接を受けた候補者の体験談がnoteに公開されています。「主に3つの質問に対する答えが、『状況→課題→行動→結果』の4ステップで深掘りされた」と記録されており、まさに構造化面接の典型例です。
タイプ2:録画型(非対話:質問は固定、回答は録画)
「AIと会話する」というより、提示された質問に対して録画で答える方式です。オンデマンド面接とも呼ばれます。AIが分析に入ることもありますが、体験としては「会話」ではなく「録画提出」に近いものです。
日本では日立システムズが提供する「HireVue」が代表的です。公式サイトでは、事前設定した質問に対して候補者が録画で回答する形式(OnDemand)と、リアルタイムのライブ形式(Live)の両方に対応すると明記されています。録画型は企業側が複数人で見返しやすく、評価共有に向いているという特徴があります。
このタイプの利点は、候補者が自分のペースで準備でき、場合によっては撮り直しも可能な点です。一方で、リアルタイムの対話がないため、面接官の反応を見ながら話を調整する、といった柔軟性は失われます。また、カメラに向かって一人で話す状況に慣れていない候補者にとっては、むしろ対話型より難しく感じられることもあります。
タイプ3:アバター/デジタルヒューマン型(見た目は人、挙動は対話AI)
対話型AIを、より”面接っぽいUI”に載せたタイプです。画面上にアバターやデジタルヒューマンが出てきて、音声でやり取りします。中身は対話AIですが、候補者が受ける印象は「チャット」より「面接」寄りになりやすいのが特徴です。
dfplus.ioの詳細な体験レビューでは、PeopleXのデジタルヒューマン面接について、「登録→環境チェック→入室→スーツ姿のデジタルヒューマンが挨拶し、質問が進む様子」がスクリーンショット付きで紹介されています。レビュアーは「思ったより自然」と評価しつつ、後述する技術的な注意点にも言及しています。
デジタルヒューマン型の最大の利点は、心理的な親しみやすさです。テキストチャットや録画画面に向かって話すよりも、人の顔(たとえCGであっても)がある方が、自然に話せる候補者は多いようです。表情や頷きといった非言語コミュニケーションの要素が加わることで、面接という状況により近い体験が実現されています。
また、Our AI面接は公式に「求職者がアバターと面接」とうたい、24時間365日・スマホ対応・面接直後通知などの体験設計を前面に出しています。国内唯一の定額制AI面接サービスとして、従量課金を気にせず活用できる点も企業にとってメリットです。
YouTubeでも実際の体験動画が公開されており、PeopleXの公式チャンネルでは中途採用編のデモ動画や、候補者の感想編が視聴できます。視覚的に理解したい方にはおすすめです。
体験談で見える「AI面接っぽさ」の正体――時間制限と”構造化”の影響

候補者の体験談を読むと、AI面接の特徴は「AIだから気楽」だけではないことがわかります。むしろ逆に、テンポが早い、間が許されない、回答の構造が崩れると厳しい、という声も出てきます。
JALのAI面接(SHaiN)を受けた個人のnoteでは、質問が3テーマで、回答が「状況→課題→行動→結果」の4ステップで深掘りされると記録されています。これ自体が、対話型AIが”構造化面接”に寄せていることを示しています。構造化面接とは、あらかじめ決められた評価項目と質問フォーマットに沿って行う面接手法で、評価の公平性を高める効果があります。
一方、PeopleXの体験レビュー(dfplus.io)では、回答中に少し間を空けると「回答終了」と判定され次の質問に進むことがある、という注意点が挙がっています。「実際に話しているとき、少し間をあけるとそのタイミングで回答が終了したと判断され、次の質問に進んでしまうことがありました」という記述は、人間の面接なら起きにくい事態です。
これは候補者側の「言葉を選ぶ間」や「考えてから話す癖」と相性が悪い場合があることを意味します。AI面接では、話の筋が通っていることと、テンポよく話すことが、合否以前に「最後まで出し切れるか」に影響するのです。
この「間の問題」は技術的な課題として認識されており、今後のバージョンアップで改善される可能性があります。実際、PeopleXのサービスでは「会話履歴」ボタンが用意されており、AIが何を言ったか確認できる工夫がされています。また、SHaiNの代表取締役が「AIは相手の話を遮らない」とコメントしているように、サービスによって設計思想は異なります。
企業はなぜ一次面接をAIに寄せるのか?――効率化だけじゃない導入理由

AI面接導入の話は「工数削減」で語られがちですが、実務上はそれだけではありません。
SHaiNの導入事例(フルスピード社)では、一次面接の工数が「約50%削減」されたという具体的な数値が示されています。しかし注目すべきは、削減した時間を「候補者フォローや採用広報に回せた」という点です。結果として前年比133%の採用実績を達成しており、単なる省力化ではなくリソースの再配分による採用力強化につながっています。
この事例が示唆するのは、AI面接は「人事が楽をするため」ではなく、「人事が本来注力すべき業務に集中するため」のツールだということです。一次面接は多くの場合、基本的な適性を確認する「足切り」の役割を担いますが、この部分をAIに任せることで、人事担当者は候補者との関係構築や、企業の魅力を伝える採用広報活動に時間を使えるようになります。
また、PeopleXの導入事例(串カツ田中ホールディングス)では、採用担当が1名体制になったことや、外部の面接代行コスト・当日キャンセルリスクといった現場課題が背景として語られています。AI面接の結果(動画・評価レポート)を部署と共有してミスマッチ低減に使う、という運用も紹介されており、採用プロセス全体の設計に組み込まれていることがわかります。
つまり企業側の狙いは、「面接官が足りないからAIで代替」だけではなく、以下のような採用プロセス全体の質向上にあります。
母集団が多い初期で取りこぼしを減らす――24時間365日受検可能なため、地方在住者や多忙な候補者も参加しやすくなります。フルスピード社の事例でも「地方在住や多忙で就職活動の時間が限られていた学生でも受検できるようになり、候補者層の拡大につながった」と報告されています。従来の対面面接では、移動時間やスケジュール調整の都合で優秀な候補者を逃していた可能性があります。AI面接はそうした機会損失を防ぐ役割を果たします。
評価のブレを抑え、ログを残す――人間の面接官には避けられない評価基準のばらつきを、AIのスコアを活用してすり合わせることで統一できます。フルスピード社では「以前の面接ではコミュニケーション能力としてまとめられていたポイントも定量的に把握できるようになった」と評価されています。また、面接内容がすべて記録されるため、後から「あの候補者はどんな話をしていたか」を正確に振り返ることができ、選考の精度向上につながります。
部署へ情報共有し、判断材料を揃える――串カツ田中の事例では、AI面接の動画と評価レポートを直接配属予定の部署に共有することで、人事を介さずに部署の担当者が候補者のイメージを掴めるようになり、採用プロセス全体の効率化と連携強化につながっています。これにより、入社後のミスマッチも減らせる可能性があります。
「AIチャットボット型」と「それ以外」の違いを候補者目線で整理する

ここで、冒頭の疑問「結局、AIチャットボットなの?」に戻りましょう。
対話型(チャットボット型)は、その場で会話が進み、回答に反応して深掘りされます。構造化されやすく、回答の筋が見られやすいのが特徴です。一方で、”間”やテンポの影響が出やすいという側面もあります。SHaiNの説明や体験談は、まさにこの「深掘り」「構造化」を示しています。
このタイプに向いているのは、事前に自分のエピソードをしっかり整理でき、論理的に話せる候補者です。逆に、その場の雰囲気で柔軟に話を変えていくタイプの人には、やや窮屈に感じられるかもしれません。
録画型は、会話ではなく提示質問に録画で答える形式です。撮り直し可否、制限時間、設問数など、”ルールゲー”になりやすい側面があります。企業側は複数人で見返しやすく、評価共有に向いています。HireVueのOnDemandは、この録画型の代表例です。
このタイプに向いているのは、カメラの前で一人でも堂々と話せる候補者です。舞台やプレゼンテーションの経験がある人は有利かもしれません。逆に、対話の中で相手の反応を見ながら調整するタイプの人には難しく感じられる可能性があります。
アバター/デジタルヒューマン型は、体験は「面接」っぽいものの、挙動は対話AIです。候補者の心理的抵抗を下げる狙いがある一方で、テンポや環境要因の影響は残ります。PeopleXの体験レビューは、このタイプの利点・注意点が具体的に出ています。
このタイプは、対話型と録画型の中間のような位置づけで、多くの候補者にとってバランスが取れた形式と言えるでしょう。「人の顔」があることで安心感を持ちつつ、対話の自然さも享受できます。
候補者が準備すると効くのは「話のうまさ」より”構造と環境”

体験談を横断すると、AI面接では「気合い」「圧」よりも、次の2つが効いてしまうことがわかります。
回答の構造――状況→課題→行動→結果のように、話の筋が通っているほどAIでも拾いやすくなります。JALの体験談がまさにそれを示しています。これはビジネスシーンで広く使われる「STAR法」と呼ばれる回答フレームワークです。事前に自分のエピソードをこの構造で整理しておくと、AI面接でも人間の面接でも効果的です。
具体的には、過去の経験を3〜5個ピックアップし、それぞれについて以下の4点を明確にしておきます。
- Situation(状況):いつ、どこで、どんな状況だったか
- Task(課題):その状況で何が問題だったか、何を求められていたか
- Action(行動):あなたは具体的にどう行動したか
- Result(結果):その結果どうなったか、何を学んだか
この準備をしておくと、どんな質問が来ても慌てずに答えられます。
環境とテンポ――通信・マイク、そして間を空けない話し方(AIが終了判定しない話し方)が、合否以前に「最後まで出し切れるか」に影響します。PeopleXの体験レビューが具体的に触れているように、少しの沈黙が意図せず「回答終了」と判定されるリスクがあります。事前の環境チェックと、淀みなく話す練習が重要です。
具体的な準備としては、面接前日までに以下を確認しましょう。
- 安定したインターネット接続(可能であれば有線LAN)
- 静かな場所の確保(家族に事前に伝えておく)
- カメラとマイクの動作確認
- 明るさの調整(逆光にならないように)
- 背景の整理(余計なものが映り込まないように)
また、話し方については、「えー」「あのー」といったフィラーを極力減らし、短い文で区切りながらテンポよく話す練習をしておくと良いでしょう。友人や家族に協力してもらい、スマホで録画しながら模擬面接をしてみると、自分の話し方の癖が見えてきます。
AI面接が広がるほど、「AIに合わせた受け方」も現実的なスキルになっていきます。逆に企業側も、候補者の環境差で不利が出ないよう、運用設計と説明(透明性)を丁寧にしないと、信頼を失うリスクがあります。AI面接は”便利な自動化”であると同時に、”体験と説明責任を含む新しい選考設計”でもあるのです。
AI面接の評価項目――何を、どう測っているのか?

多くの候補者が気になるのは「AI面接で何を評価されているのか」という点でしょう。
JILPTの取材記事では、SHaiNの評価システムが詳しく紹介されています。従来は「バイタリティ」「イニシアティブ」「対人影響力」「柔軟性」「感受性」「自主独立性」「計画力」の7つの質問項目と、「理解力」「表現力」「ストレス耐性」の3つの観察項目の計10項目を、それぞれ100段階(0.0点~10.0点)で評価していました。
2025年12月の新バージョンでは、さらに「コミュニケーション能力」「クリティカルシンキング(地頭)」「チャレンジ精神(挑戦心)」「やりきる力(誠実性)」「堅実性」「トップリーダー(主体性)」「マネージャー」「チームプレーヤー(協調性)」の8項目が追加され、より多角的な評価が可能になっています。
これらの評価は、単に回答内容だけでなく、目線の動きや視線といった非言語的な情報まで分析しているとされています。串カツ田中の事例では、「回答の内容はもちろんのこと、目線の動きや視線といった非言語的な情報まで分析し、それらを基に総合的な評価をされている点に大変驚きました」とコメントされています。
ただし、こうした非言語分析については、プライバシーや公平性の観点から議論も起きています。目線の動きが文化的背景や神経多様性(発達障害など)によって異なる可能性があるため、それを一律に評価することの妥当性については、今後も慎重な検証が必要でしょう。
AI面接サービスの選び方――企業担当者が押さえるべきポイント

企業の採用担当者にとって、どのAI面接サービスを選ぶかは重要な意思決定です。
対話の自然さ――串カツ田中の事例では、複数のサービスを比較検討した結果、「PeopleXのAI面接が、対話の自然さという点において最も優れていると感じました。他社様のものですと、実際に試してみると録画形式に近いものも多かった」と評価されています。候補者体験を重視するなら、実際に試用して自然さを確認することが重要です。
評価の妥当性――フルスピード社の事例では、「実際に複数の社員がAI面接をテストで受けたところ、『妥当だね。すごい。』という声が上がった」と報告されています。感覚値とAIの評価が一致することで、信頼性が高まります。導入前に自社の社員で試用し、評価の妥当性を確認するプロセスは不可欠です。
導入スピードとサポート――フルスピード社は「タイトな期日だったのにも関わらず、スムーズな導入により、予定通りに採用活動を開始できることも決め手の一つとなりました」とコメントしています。採用シーズンに間に合わせるためには、導入スピードとベンダーのサポート体制も重要な選定基準です。
コストモデル――Our AI面接のように定額制のサービスもあれば、従量課金のサービスもあります。採用規模や予算に応じて最適なコストモデルを選ぶことが大切です。串カツ田中の事例では、従来の面接代行サービスで「人件費の問題」と「当日連絡なくキャンセルとなった場合でも料金が発生してしまう」という2つのコスト課題があったと述べられています。
カスタマイズ性――企業によって求める人材像は異なります。質問内容や評価項目をどこまでカスタマイズできるかも重要なポイントです。SHaiNでは企業ごとに質問を設定でき、Our AI面接でも「質問したい内容を登録するだけでAIが自動的に求職者との会話内容に応じて発話内容や質問の順番を最適化」すると謳われています。
AI面接の未来――採用以外への展開可能性

AI面接の技術は、採用選考にとどまらない応用可能性を秘めています。
フルスピード社の事例では、「今後は、中途採用での活用や、若手面接官の育成ツールとしての可能性にも注目しています。将来的には採用選考にとどまらず、キャリア面談や評価面談など、人材マネジメント全般への応用もできそうです」とコメントされています。
実際、PeopleXの公式YouTubeでは、AI面接だけでなくAIキャリアコーチングにも転用した事例や、就職活動の模擬面接としての活用例が紹介されています。学生が本番前に何度も練習できる環境を提供することで、面接スキルの向上とともに、自己理解を深める効果も期待されています。
串カツ田中の事例でも、「今後の展望として、ご担当者様が最も期待を寄せるのが、採用ボリュームの大きいアルバイト領域へのAI面接の活用」と述べられており、正社員採用だけでなく、アルバイト採用への展開も見据えられています。新規出店の際には1店舗あたり30〜40名を目標に採用活動を行い、面接数は100人近くにのぼることもあるため、AI面接によるコスト削減効果は非常に大きいと期待されています。
さらに、社内の人材育成においても活用の可能性があります。定期的な1on1面談やキャリア相談にAIを活用することで、上司の負担を減らしつつ、従業員が気軽に相談できる環境を作れるかもしれません。また、昇進・昇格面接の一次スクリーニングにAIを使うことで、評価の公平性を高める試みも考えられます。
2026年現在、日本で最も利用されているAI面接サービスは?
AI面接サービスは複数存在しますが、「実際にどのサービスが最も使われているのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。公開データと市場動向から、現在の勢力図を整理します。
圧倒的シェアNo.1:SHaiN

導入企業数927社という具体的な数値を公表しているのは、株式会社タレントアンドアセスメントが提供する「SHaiN」です。JILPTの取材記事および公式プレスリリースによれば、2025年12月3日時点でこの数字に到達し、1日1社のペースで増加を続けています。
累計受検者数は14万8,477人にのぼり、対話型AI面接サービスとしては「国内最大手」「国内最多の導入社数」を公式に謳っています。成長の軌跡を見ると、その勢いは加速する一方です。
SHaiNの成長推移
- 2019年:サービス開始から約2年で100社達成
- 2024年2月:700社突破
- 2024年8月:600社から700社へ(約6ヶ月)
- 2025年7月:800社突破
- 2025年10月:900社突破
- 2025年12月:927社到達
2024年以降の成長が特に顕著で、わずか10ヶ月で300社以上増加しています。この背景には、フルスピード社の事例で報告されているような「一次面接工数50%削減」「前年比133%の採用実績」といった具体的な成果が、口コミやメディア露出を通じて広がっていることが考えられます。
また、JALのような大手企業での採用実績が、他企業の導入判断を後押ししている面もあるでしょう。実際、JALのAI面接を受けた候補者の体験談がSNSで拡散されるなど、認知度も高まっています。
急成長中の挑戦者:PeopleX AI面接

対話型AI面接市場で急速に存在感を高めているのが、株式会社PeopleXの「PeopleX AI面接」です。具体的な導入企業数は公表していませんが、注目すべき導入実績と評価を獲得しています。
主要導入企業
- 串カツ田中ホールディングス(飲食業)
- 住友ゴム工業(DUNLOP)(製造業)
- 国立大学法人香川大学(教育機関)
特筆すべきは、業種の多様性です。飲食から製造、教育機関まで幅広い分野で採用されており、汎用性の高さが伺えます。串カツ田中の導入事例では、採用担当者が「複数の他社サービスも検討したが、PeopleXのAI面接が対話の自然さという点において最も優れていると感じた」とコメントしています。
また、2025年下半期には「BOXIL SaaS AWARD」を受賞しており、ユーザー評価の高さも証明されています。公式プレスリリースによれば、多言語対応や新しいAI技術の投入など、積極的な機能拡張を続けており、2026年も大きな発表を予告しています。
PeopleXの強みは、デジタルヒューマン型の「黒須ミライ」という具体的なキャラクターを面接官として設定し、候補者体験を重視している点です。dfplus.ioの詳細な体験レビューでは、「思ったより自然」「人間の面接官とほとんど差を感じない」と高く評価されています。
グローバルスタンダード:HireVue

世界市場では圧倒的なシェアを持つのが、HireVueです。日本では日立システムズが提供しており、グローバルで700社以上が導入しています。
日本国内での具体的な導入社数は公表されていませんが、日立製作所が2020年度のインターンシップ・新卒採用で導入したことが公式に発表されており、大手企業を中心に浸透していると見られます。
HireVueの特徴は、対話型ではなく録画型面接がメインである点です。事前設定した質問に対して候補者が録画で回答する「OnDemand」形式と、リアルタイムのライブ面接「Live」形式の両方に対応しています。また、25,000の特徴パターンを検出する高度なAI分析機能や、ゲームベースのアセスメント機能など、多機能な点が強みです。
ただし、日本市場では「対話型」を求める企業が多いため、SHaiNやPeopleXと比較すると、グローバル企業や大手製造業など特定セグメントでの利用が中心になっていると推測されます。
差別化戦略で攻める:Our AI面接

国内唯一の定額制AI面接サービスとして独自のポジションを築いているのが、ONE GROUP株式会社の「Our AI面接」です。
多くのAI面接サービスが従量課金(1件あたり数千円)であるのに対し、Our AI面接は月額固定料金で使い放題という価格モデルを採用しています。これにより、アルバイトや大量採用を行う企業にとってコストメリットが大きいという特徴があります。
JetB株式会社の2025年第4四半期報告によれば、Our AI面接の導入により一次面接工数を88.87%削減に成功した事例も報告されており、費用対効果の高さが実証されています。従来247時間を要していた一次面接業務を29.6時間まで短縮し、11ヶ月で約217万円の人件費削減を実現したとのことです。
また、2026年5月には大幅リニューアルを予定しており、今後の展開が注目されます。導入企業数は非公開ですが、定額制という明確な差別化ポイントで一定のシェアを確保していると見られます。
その他の注目サービス

harutaka AI面接は、株式会社i-plugが提供する採用DXプラットフォーム「harutaka」内のAI面接機能です。単体のAI面接サービスというより、ATS(採用管理システム)に統合されたソリューションとして提供されているため、既存のharutakaユーザー向けの機能という位置づけです。
AIスミズミ(デジタルレクリム株式会社)は、厳密には面接そのものを代行するサービスではありませんが、採用プロセスの入口を支える重要なツールとして注目されています。企業の採用サイトにAIチャットボットを設置し、候補者が面接に応募する前段階で企業情報を収集するためのQ&Aサービスとして活用されています。
「給与体系はどうなっていますか?」「リモートワークは可能ですか?」「福利厚生について教えてください」といった、候補者が応募前に知りたい情報に24時間365日対応できるため、応募のハードルを下げる効果があります。また、人事担当者への問い合わせ負荷を大幅に削減できる点も評価されています。
AI面接と組み合わせることで、応募前の情報提供→AI面接による一次選考→人間面接官による最終選考という、完全にデジタル化された候補者ジャーニーを構築できます。特に、中小企業やスタートアップで採用担当者のリソースが限られている場合、AIスミズミのようなチャットボットで「よくある質問」に自動対応し、AI面接で初期スクリーニングを行うことで、人事担当者は本当に重要な候補者との対話に集中できるようになります。
採用活動におけるAI活用は、「面接」だけでなく、その前後のプロセス全体に広がりつつあります。AIスミズミはその代表例と言えるでしょう。
カンリーAI面接やAI RECOMENなども市場に存在しますが、具体的な導入実績や市場シェアに関する公開情報は限られています。
市場シェアの推測
公開データから推測すると、2026年2月時点での日本国内AI面接サービス市場は以下のような勢力図と考えられます。
対話型AI面接市場
- SHaiN:推定60-70%(927社という具体的数値から算出)
- PeopleX:推定15-25%(急成長中、大手企業の導入実績多数)
- Our AI面接:推定5-10%(定額制という特定ニーズ層)
- その他:推定5-10%
録画型・グローバル市場
- HireVue:別カテゴリー(グローバル企業中心、日本国内シェアは不明)
時事通信の調査では、主要100社の約3割がAIを採用活動に導入していることが明らかになっていますが、すべてが「AI面接」を使っているわけではありません。書類選考AIやマッチングAIなども含まれるため、純粋なAI面接サービス市場はまだ成長余地が大きいと言えます。
なぜSHaiNが圧倒的なのか?
SHaiNが市場をリードしている理由は、以下の要因が考えられます。
先行者利益――2018年にサービスを開始し、対話型AI面接のパイオニアとして市場を開拓してきました。競合が少ない時期に多くの企業との関係を構築できたことが大きいでしょう。
科学的信頼性――JILPTの記事で詳しく紹介されているように、「戦略採用メソッド」という科学的理論に基づく構造化面接を採用しており、「EU AI Act(欧州AI規制法)」に準じた透明性・説明責任を確保している点が、企業の信頼を得ています。
具体的な成果数値――フルスピード社の「工数50%削減」「採用実績133%達成」といった具体的なROI(投資対効果)が公開されていることで、導入判断がしやすくなっています。
メディア露出――労働政策研究・研修機構(JILPT)という公的機関の取材を受けるなど、メディア露出が多く、認知度が高まっています。
導入のしやすさ――スマホでも受検可能、24時間365日対応という利便性が、候補者体験の向上につながり、企業側も安心して導入できます。
今後の市場動向
AI面接市場は今後さらに拡大すると予測されています。世界市場の調査によれば、AI採用市場は2024年の6億1,756万米ドルから、2033年には11億2,584万米ドルに達すると予測されており、年平均成長率は約7%です。
日本国内でも、労働人口の減少と採用競争の激化により、AI面接の需要は高まり続けるでしょう。特に注目すべきは、新卒採用だけでなく、中途採用やアルバイト採用への拡大です。串カツ田中の事例でも、今後アルバイト採用での活用を検討していると述べられています。
また、PeopleXが予告しているような「新しいAI面接」の登場や、Our AI面接の大幅リニューアルなど、技術革新も続いています。現在はSHaiNが圧倒的なシェアを持っていますが、今後は各社の技術力やサービス設計の差が市場シェアに影響を与える可能性があります。
企業にとっては、単に「シェアが高いから」という理由だけでなく、自社の採用ニーズ(対話型か録画型か、定額制か従量課金か、評価項目のカスタマイズ性など)に合わせて最適なサービスを選ぶことが重要です。候補者にとっても、どのサービスで面接を受けることになるのかを事前に把握し、それぞれの特性に合わせた準備をすることが、より効果的な自己アピールにつながるでしょう。
よくある質問(Q&A)


Q1: AI面接で「いいえ」は答えてもいいですか?

はい、答えても問題ありません。ただし、多くのAI面接では「あなたにはこのような経験がありますか?」という形式の質問がされ、「はい」を選ばないと深掘り質問が始まらない設計になっています。JALのAI面接体験談では、「YESを選ばなければそもそも会話が始まらない」「NOを選んだらどうなるかは謎だが恐らく別の質問に飛ぶ」と記録されています。
「いいえ」を選ぶこと自体は不正解ではありませんが、そのエピソードについて語る機会は失われます。事前に自分の経験を棚卸しし、できるだけ多くの質問に「はい」と答えられるよう準備しておくことが得策です。どうしても該当する経験がない場合は、正直に「いいえ」と答える誠実さも評価されるかもしれませんが、その場合は別の質問でしっかりアピールする必要があります。

Q2: AI採用面接のデメリットは?

候補者側のデメリットとしては、まず技術的な制約が挙げられます。dfplus.ioの体験レビューで指摘されているように、回答中に少し間を空けると「回答終了」と判定されることがあります。また、通信環境やマイクの品質によって不利になる可能性もあります。
さらに、AIとの対話では人間的な温かみやアドリブのやり取りが制限され、自分の魅力を十分に伝えきれないと感じる候補者もいます。特に、コミュニケーション力に自信がある候補者ほど、対人面接の方が有利だったのに、という不満を持ちやすい傾向があります。
企業側のデメリットとしては、初期導入コストや、候補者からの心理的抵抗、技術的トラブル時の対応などが考えられます。また、AIの評価が完全ではないため、優秀な候補者を見逃すリスクも否定できません。ただし、これらのデメリットは技術の進化と運用の工夫で改善されつつあります。

Q3: AI面接で何を聞かれる?

AI面接の質問内容は企業やポジションによって異なりますが、多くの場合、行動面接(Behavioral Interview)の形式が採用されます。JALの体験談では、「困難を乗り越えた経験」「イレギュラーな事態が発生した際のこと」「困っている人/悩んでいる人の手助け」という3つのテーマで質問されたと記録されています。
それぞれについて「状況→課題→行動→結果」の4ステップで深掘りされるため、過去の具体的なエピソードを事前に整理しておくことが重要です。また、SHaiNの評価項目から推測すると、バイタリティ、イニシアティブ、対人影響力、柔軟性、感受性、自主独立性、計画力といった資質を測る質問がされる可能性が高いでしょう。
その他によくある質問テーマとしては、「チームで目標を達成した経験」「失敗から学んだこと」「リーダーシップを発揮した場面」「価値観の違う人と協力した経験」などが挙げられます。

Q4: AI面接のSHaiNは何分ぐらいですか?

JILPTの取材記事によれば、SHaiNの面接時間は通常45分程度です。ただし、SHaiNの代表取締役・山﨑俊明氏は「相手の回答によって、AIが何度も掘り下げ質問をすることになったり、話が長い人だったらもっと長くかかることもある。AIは相手の話を遮らない」とコメントしています。
つまり、候補者の回答内容や話し方によって前後する可能性があります。短い場合は30分程度で終わることもあれば、掘り下げが多い場合は1時間近くかかることもあるようです。時間に余裕を持って臨むことをおすすめします。また、集中力を保つためにも、事前にトイレを済ませ、飲み物を手元に用意しておくと良いでしょう。

Q5: AI面接の結果はいつわかりますか?


Q6: AI面接は公平ですか?バイアスはありませんか?

AI面接は、人間の面接官が持つ無意識のバイアス(性別、年齢、外見などによる偏見)を減らす可能性がある一方で、AIが学習したデータに含まれるバイアスを再現するリスクもあります。JILPTの記事では、SHaiNが「EU AI Act(欧州AI規制法)」でハイリスクシステムとして位置づけられる採用システムに該当し、それに準じた形で透明性・説明責任を確保していると紹介されています。
企業側も、AI面接の結果を絶対視せず、人間の面接官による確認プロセスを組み合わせることが重要です。また、フルスピード社の事例では、「面接官ごとの評価基準のばらつきも、AIのスコアを活用してすり合わせることで統一され、より公平で安定した評価が可能になった」と評価されています。
完全に公平な選考システムは存在しませんが、AI面接は従来の人間面接よりも客観性を高める可能性があると同時に、新たなバイアスのリスクもはらんでいることを理解しておく必要があります。

Q7: AI面接の対策はどうすればいいですか?

AI面接対策の基本は、構造化された回答を準備することと技術環境を整えることの2つです。まず、自分の過去の経験を「状況→課題→行動→結果」のSTAR法で整理しましょう。JALの体験談でも、この構造で深掘りされたと記録されています。
次に、通信環境、カメラ、マイクを事前にチェックし、静かな場所を確保してください。また、dfplus.ioのレビューで指摘されているように、回答中に長い間を空けないよう、淀みなく話す練習をしておくことも大切です。
さらに、企業の公式サイトやサービス提供元の説明動画(PeopleXのYouTubeなど)で事前に流れを確認しておくと安心です。模擬練習として、スマホで自分の話す様子を録画し、客観的に見直すことも効果的です。

Q8: AI面接と対面面接、どちらが有利ですか?

一概にどちらが有利とは言えません。AI面接には24時間365日受検可能、移動コスト不要、評価の客観性といったメリットがあります。フルスピード社の事例では、「地方在住や多忙で就職活動の時間が限られていた学生でも受検できるようになり、候補者層の拡大につながった」と報告されています。
一方、対面面接には人間的な温かみ、アドリブ対応、非言語コミュニケーションの豊かさといった利点があります。AI面接は主に一次選考で使われることが多く、最終的には対面面接と組み合わせて総合的に判断されます。
自分の強みがどちらの形式で発揮されやすいかを理解し、それぞれに合った対策をすることが重要です。論理的思考力や準備力に自信がある人はAI面接に向いており、臨機応変な対応力や共感力に自信がある人は対面面接の方が有利かもしれません。

Q9: AI面接で落ちたら、その理由は教えてもらえますか?

一般的に、日本の採用選考では不合格の理由を詳しく開示しない企業が多いのが現状です。これはAI面接でも同様です。ただし、AI面接の場合、客観的な評価レポートが生成されるため、企業によっては一部のフィードバックを提供することもあります。
SHaiNの事例では、「受検者からは『自己分析のきっかけになった』という声が寄せられており」とあり、評価結果が候補者の成長にも役立つ可能性が示唆されています。もし詳細なフィードバックを希望する場合は、採用担当者に丁寧に問い合わせてみる価値はあるでしょう。
「今回の選考では残念ながらご縁がありませんでしたが、今後の成長のためにフィードバックをいただけないでしょうか」という形で依頼すれば、対応してくれる企業もあるかもしれません。

Q10: 企業はAI面接の結果だけで合否を決めているのですか?

多くの企業では、AI面接の結果を参考情報の一つとして活用しており、最終的には人間の面接官が総合的に判断しています。串カツ田中の事例では、「現在は二次選考の段階でSHaiNを活用しています」とあり、一次選考の補助ツールとして位置づけられていることがわかります。
また、「AI面接の動画と評価レポートを直接配属予定の部署に共有」することで、複数の視点から候補者を評価する仕組みが作られています。フルスピード社の事例でも、「AIに任せられる部分と、人が向き合うべき部分を明確に切り分けられるようになった」とコメントされており、AIと人間の役割分担が重視されています。
つまり、AI面接で高評価を得ることは重要ですが、それがすべてではありません。その後の選考で人間的な魅力や企業との相性をしっかり伝えることが最終的な合否を左右します。
まとめ――AI面接は「新しい選考設計」の一部

AI面接は単なる省力化ツールではなく、採用プロセス全体を再設計する機会として捉えられています。企業側にとっては、母集団拡大、評価の客観化、リソースの最適配分といったメリットがあり、候補者側にとっても、時間・場所の制約が減り、公平な評価を受けられる可能性があります。
一方で、技術的な制約や心理的な違和感といった課題も残っています。企業は候補者体験を丁寧に設計し、透明性を確保する責任があります。候補者は、AI面接の特性を理解し、適切な準備をすることで、自分の魅力を最大限に伝えることができます。
AI面接が広がる今だからこそ、「AI+人間」のハイブリッドな採用設計が、企業と候補者の双方にとって最適な形を模索する時代になっています。技術は手段であり、最終的な目的は「適切な人材と企業のマッチング」であることを忘れてはいけません。
今後、AI技術はさらに進化し、より自然で公平な面接体験が実現されていくでしょう。同時に、倫理的な配慮や透明性の確保も進んでいくことが期待されます。採用活動に関わるすべての人が、この新しい技術の可能性と限界を理解し、賢く活用していくことが求められています。
参考資料

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