結論から申し上げます。チャットボットは無料で使えます。ただし、無料でできることには、はっきりとした境目があります。
この記事では次のことをお伝えします。
- 無料で使えるチャットボット10製品と、それぞれの無料プランで何ができるか
- 無料プランでできること・できないこと
- どの時点で有料に切り替えるべきかの判断基準
- 私たちが実際に無料で始めて、有料に移ったときの話
- 法人で使う前に必ず確認すべきこと
私たちデジタルレクリムは、チャットボットを自社で開発し、お客様に提供しています。「まず無料で試したい」というご相談は非常に多く、実際に無料から始めていただくこともあります。その経験から、無料で足りる場合と足りない場合の線引きをお伝えします。
なお、本記事の料金・条件は2026年9月1日時点で各社の公式ページに掲載されていた内容にもとづきます。変更されることがありますので、契約前には必ず公式ページをご確認ください。
チャットボットは無料で使えますか?
使えます。無料で使う方法は、大きく3通りあります。
| 方法 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 1. 無料プラン | 有料ツールに用意された、ずっと使える無料の枠 | 問い合わせ件数が少ない |
| 2. 無料トライアル | 7日〜30日程度、有料機能をすべて試せる | 本格導入の前に確かめたい |
| 3. 自分で作る | オープンソースやノーコードで自作する | 社内に手を動かせる人がいる |
ただし、1と2はまったく別物です。ここを取り違えると「無料だと思って始めたら1週間で止まった」ということが起きます。
無料トライアルは期限が来れば終わります。ずっと無料で使いたいなら、「Free plan」「無料プラン」と書かれているものを選んでください。「無料で試す」「Free trial」はトライアルです。
無料で使えるチャットボット10選
無料プラン、または無料で始められる製品を10挙げます。制限の内容は製品ごとに大きく違いますので、そこを中心に整理しました。
1. LINE公式アカウント
日本の中小企業にとって、最も現実的な出発点です。コミュニケーションプランは月額0円で、自動応答の機能を使えます。
無料の範囲は月200通のメッセージまで。この枠を超えると、追加でメッセージを送ることはできません(コミュニケーションプランでは追加購入ができない仕組みです)。
有料に上げる場合、ライトプランが月額5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランが月額15,000円(税別)で30,000通です。スタンダードプランのみ、超過分を1通あたり約3円(税別)で追加できます。
向いている場合:すでにLINEでお客様とつながっている。店舗、飲食、美容、クリニックなど。
2. Zoho SalesIQ
Webサイトに設置するチャットの製品です。無料プランが用意されています。
無料プランの内容は、オペレーター3名まで、訪問者の分析が月10,000人まで、チャットセッションが月100件までとなっています。
チャット100件という枠は、小規模なサイトであれば十分に足ります。無料プランで3名まで使えるのは、この価格帯では珍しい条件です。別途、15日間の無料トライアルも用意されています(クレジットカード不要)。
向いている場合:自社サイトに設置したい。複数人で対応したい。
3. Crisp
海外製の、サイト設置型のチャットです。「Free Forever」という、期限のない無料プランがあります。
無料プランには2席(2名分のアカウント)が含まれ、Webサイトのチャットウィジェットが使えます。ただし公式ページに明記されているとおり、無料プランにはAIのクレジットが含まれません。つまり、AIによる自動応答は無料の範囲では使えません。
有料プランは、Miniが月45ドル、Essentialsが月95ドル、Plusが月295ドルです。
向いている場合:まず有人チャットとして使い、後からAIを足したい。
4. Tidio
こちらも海外製で、月0ドルの無料プランがあります。有料はStarterが月24.17ドル(会話100件まで)、Growthが月49.17ドルから、Plusが月300ドルからという構成です。
Tidioの料金は「Billable conversations(課金対象の会話数)」で決まります。問い合わせが増えれば費用も上がる仕組みなので、繁忙期のある業種では試算しておく必要があります。
向いている場合:問い合わせ件数が読めていて、少ない。
5. Chatbase
自社の資料を読み込ませて答えさせる、生成AI型の製品です。無料プランは月0ドルで使えます。
ただし制限は明確です。月50メッセージまで、メンバーは1名まで、利用できるモデルも限定的です。さらに公式ページには、無料プランでは14日間使われないとエージェントが削除されると記載されています。
有料はHobbyが月40ドル(月700メッセージ・2名)、Standardが月150ドル、Proが月500ドルです。
向いている場合:生成AI型がどういうものか、まず触ってみたい。月50件は動作確認向けの枠です。
6. Dify
ノーコードでAIアプリを作れる開発基盤です。使い方が2通りあります。
ひとつは、提供元のクラウドを使う方法。Sandboxプランが無料で、200メッセージ分のクレジットが付きます。OpenAI、Anthropic、Geminiなど複数のモデルを試せる枠です。
もうひとつは、オープンソース版を自分のサーバーに置く方法です。ソフトウェア自体は無料で、ワークスペースは1つという条件です。ただしサーバー代とAIの利用料は別途かかります。
向いている場合:社内に手を動かせる人がいる。自由に作り込みたい。
7. ManyChat
InstagramやFacebook Messenger、WhatsApp、TikTokといったSNS向けの自動応答に強い製品です。無料プランは月0ドル。
制限は月25件のアクティブな連絡先まで、接続できるチャネルは2つまでです。25件という枠はかなり小さいので、実質は動作確認用と考えたほうが安全です。
有料はEssentialが月14ドルから、Proが月29ドルからです。
向いている場合:InstagramのDM対応を自動化したい。
8. Chatfuel
こちらもSNS向けに強い製品で、クレジットカードの登録なしで無料で始められます。
無料で使える範囲には、自動返信、フローを組み立てる画面、連絡先の管理と分類、あらかじめ用意されたテンプレートが含まれます。
向いている場合:まずクレジットカードを登録せずに触ってみたい。
9. HubSpot
営業支援・顧客管理のツールとして知られていますが、無料のチャットボット作成機能が含まれています。
特徴は、顧客管理の仕組みと最初からつながっていることです。チャットで受けた問い合わせが、そのまま顧客の情報として蓄積されます。チャットボット単体で見るより、顧客管理まで含めて考えると価値が出ます。
向いている場合:問い合わせを受けたあと、営業として追いかけたい。
10. Microsoft Copilot Studio
Microsoftが提供する、AIエージェントを作るための基盤です。無料で試すことができます。
ただし公式ページに注記があるとおり、エージェントを実際に使うにはAzureのサブスクリプションが必要です。「無料で試す」と「無料で運用する」は別だという点にご注意ください。
料金は、あらかじめクレジットを購入しておく方式が用意されています。
向いている場合:すでにMicrosoft 365やAzureを使っている。社内向けに作りたい。
10製品の無料枠のまとめ
| 製品 | 無料の形 | 主な上限 | 有料の開始価格 |
|---|---|---|---|
| LINE公式アカウント | 無料プラン | 月200通 | 月5,000円(税別) |
| Zoho SalesIQ | 無料プラン | チャット月100件・3名 | 公式ページに記載 |
| Crisp | 無料プラン(期限なし) | 2席・AIクレジットなし | 月45ドル |
| Tidio | 無料プラン | 会話数で課金 | 月24.17ドル |
| Chatbase | 無料プラン | 月50通・1名・14日で削除 | 月40ドル |
| Dify | 無料プラン/自前設置 | 200クレジット/1ワークスペース | 公式ページに記載 |
| ManyChat | 無料プラン | 月25連絡先・2チャネル | 月14ドル |
| Chatfuel | 無料で開始 | 公式ページに記載 | 公式ページに記載 |
| HubSpot | 無料ツール | 公式ページに記載 | 公式ページに記載 |
| Copilot Studio | 無料で試用 | 運用にAzure契約が必要 | クレジット購入制 |
※2026年9月1日時点で各社公式ページに掲載されていた内容です。ドル建ての製品は為替により円換算額が変わります。
目的別|どれを選べばよいか
10製品を並べても、結局どれかで迷います。目的から逆に絞ると早く決まります。
まずは何も考えず試したい
LINE公式アカウントから始めるのが最も現実的です。日本語で完結し、費用は0円、お客様の側も使い慣れています。月200通という枠はありますが、「自動応答とはどういうものか」を掴むには十分です。
すでにLINE公式アカウントをお持ちなら、今日から追加費用なしで始められます。
自社サイトに置きたい
Zoho SalesIQかCrispが候補になります。
Zoho SalesIQは無料で3名まで使え、チャットが月100件まで。複数人で交代しながら見たい場合はこちらです。
Crispは無料プランが期限なしで2席。まず有人チャットとして始め、後からAIを足したい場合に向きます。ただし無料の範囲にAIは含まれません。
生成AI型がどういうものか触りたい
Chatbaseが最も手軽です。自社の資料を読み込ませて、その場で答えを作らせる仕組みを、月50通の枠で体験できます。
ただし14日間使わないと消えるため、試すと決めた週にまとめて触ってください。
InstagramやMessengerのDMを自動化したい
ManyChatかChatfuelです。ManyChatは無料で月25連絡先・2チャネルまで、Chatfuelはクレジットカードなしで始められます。
いずれも無料枠は小さいため、使い勝手を確かめる目的と割り切ってください。
自由に作り込みたい/社内に技術者がいる
Difyです。クラウド版のSandboxで200クレジット分を試し、続けると決めたらオープンソース版を自社サーバーに置く、という進め方ができます。
私たちが提供しているチャットボットも、この基盤の上に作っています。作り込みの自由度は最も高い一方、設置と保守を担当できる人が要ります。
問い合わせを営業につなげたい
HubSpotです。チャットで受けた問い合わせが、そのまま顧客の情報として残ります。問い合わせを受けたあとに追いかける前提であれば、チャットボット単体で選ぶより理にかなっています。
すでにMicrosoft 365を使っている
Copilot Studioが候補です。ただし実際に運用するにはAzureの契約が必要になるため、「無料で試す」の先に費用が発生する点は押さえておいてください。社内向けの用途に向いています。
迷ったときの決め方
それでも決まらない場合は、いま来ている問い合わせが、どこから来ているかを見てください。
- LINEから来ている → LINE公式アカウント
- サイトのフォームから来ている → Zoho SalesIQ か Crisp
- InstagramのDMから来ている → ManyChat か Chatfuel
- 電話が多い → まずサイトに置く(Zoho SalesIQ か Crisp)
お客様がすでに使っている入口に置くのが、最も早く結果が出ます。新しい入口を作って、そこに来てもらうところから始めると時間がかかります。

無料プランでできること
製品によって差はありますが、無料でもここまではできるという共通部分があります。
よくある質問への自動応答
営業時間、料金、アクセスといった、決まった質問への自動返答は、ほとんどの無料プランで使えます。最も件数が多く、最も自動化しやすい部分なので、ここだけでも効果はあります。
選択肢を出して案内する
「ご用件をお選びください」と選択肢を出し、選んでもらって案内する形も、無料の範囲で作れます。文字を入力してもらうより離脱が少なく、無料プランと相性がよい作り方です。
営業時間外の受付
夜間や休日に「明日ご連絡します」と伝え、連絡先を聞いておく。この使い方は無料でも実現できます。取りこぼしを減らす効果としては、これだけでも小さくありません。
設置と見た目の調整
サイトへの設置、色や位置の調整、表示するページの指定といった基本的な設定は、無料の範囲で行えるのが一般的です。
会話の記録を見る
どんな質問が来たかを見る機能は、多くの無料プランに含まれています。これが実は最も価値があります。後の章で詳しく述べます。
無料プランでできないこと
ここが本題です。無料プランで制限されやすい機能を、実務で困る順に挙げます。
1. 答えられる回数に上限がある
最も多い制限です。月に答えられる回数が決まっており、超えると止まります。
Chatbaseは月50通、ManyChatは月25件の連絡先、LINE公式アカウントは月200通。数字を見れば分かるとおり、本格運用には足りません。
そして厄介なのは、上限に達した瞬間、お客様には何も表示されなくなることです。問い合わせが増えた月ほど、取りこぼしが増えます。
2. 自社の資料を読み込ませられない、または枠が小さい
生成AI型の価値は「自社の資料を読み込ませて答えさせる」ことにあります。ところが無料プランでは、この登録数が小さく制限されていることが多くあります。
料金表、サービス説明、よくある質問──必要な資料を入れきれなければ、答えられる範囲も狭くなります。
3. AIの機能が含まれない
Crispの無料プランには、公式ページに明記されているとおりAIのクレジットが含まれません。つまり無料の範囲では、あらかじめ決めた応答しか返せません。
「AIチャットボットを無料で」と考えていると、ここで食い違いが起きます。
4. 担当者への引き継ぎができない
答えられない質問が来たときに、担当者のチャットへ引き継ぐ機能です。これが有料になっている製品は少なくありません。
引き継げないと、「分かりません」で会話が終わります。せっかく興味を持ってくれた方を、そこで手放すことになります。
5. 提供元の名前が表示される
チャット画面の下に「Powered by ○○」と表示されるものがあります。自社サイトに他社の名前が出るということです。
気にならない場合もありますが、お客様に見られる場所である以上、判断は必要です。
6. 使える人数が少ない
Chatbaseは1名、Crispは2席、ManyChatも制限があります。複数人で運用したい場合、無料では回りません。
7. 一定期間使わないと消える
Chatbaseの公式ページには、無料プランでは14日間使われないとエージェントが削除されると記載されています。
「作ったまま放置していたら消えていた」ということが起こり得ます。無料プランを長期の保管場所として使うことはできません。

無料と有料の分かれ目はどこか
判断の基準を、はっきりお伝えします。
基準1:無料枠の上限に届いたら、それは使われているということ
最も分かりやすい合図です。上限に達したということは、お客様がそれだけ使っているということにほかなりません。
ここで有料に切り替えず放置すると、上限を超えた分がまるごと取りこぼしになります。
基準2:月20件以上の問い合わせがあり、半分以上が似た内容
この状態であれば、有料に切り替える価値があります。逆に月に数件しか来ないのであれば、無料のまま、あるいは人が応対したほうが良い場合もあります。
基準3:「分かりません」で終わる会話が増えてきた
資料の登録枠が足りていない合図です。答えられない質問が積み上がっているなら、無料の範囲を超えています。
基準4:複数人で見る必要が出てきた
担当が1人では回らなくなった時点で、人数の制限に当たります。
基準5:問い合わせが売上につながり始めた
チャット経由で相談や注文が入り始めたなら、そこは投資すべき場所です。月数千円を惜しんで機会を逃すのは、計算が合いません。
【当社の運用実績から】無料で始めて、有料に移ったときの話
ここからは、私たち自身の経験と、お客様を支援してきた経験をお伝えします。無料で始めること自体は、私たちも勧めています。ただし、そのあとに何が起きるかを知っておいていただきたいのです。
無料で始めるのは、正しい判断です
まず前提として、いきなり有料で契約するより、無料で触ってから決めるほうが確実です。
理由は単純で、実際に動かしてみないと、自社に何が必要かが分からないためです。カタログの機能一覧を見ても、自社にとって重要かどうかは判断できません。
触ってみると、必要だと思っていた機能が要らなかったり、逆に考えてもいなかった機能が必須だと分かったりします。この気づきは、無料で得られる最も大きな価値です。
ただし、無料のまま本番に出すと必ず詰まります
私たちが見てきた中で、無料から有料に移る決め手になったのは、たいてい次のどれかでした。
資料が入りきらなかった。料金表とサービス説明を入れた時点で枠がいっぱいになり、よくある質問を入れられませんでした。結果、肝心の質問に答えられませんでした。
引き継ぎができなかった。答えられない質問が来たときに「分かりません」で終わってしまい、そこで会話が切れていました。ログを見て初めて気づきました。
月の途中で止まった。問い合わせが増えた月に上限へ達し、以降まったく反応しなくなりました。止まったことに、しばらく気づきませんでした。これが最も痛い失敗です。
安く契約して、結局作り直した例
これは有料プランの話ですが、無料からの延長線上にあるので触れておきます。
あるお客様は、月額の安いプランで契約されました。ところが、自社の資料を読み込ませる機能が上位プランにしかなく、想定していた使い方ができませんでした。結果として、契約し直して作り直すことになりました。
最初に払った費用と、作り直しの費用の両方がかかったことになります。安く始めたつもりが、高くつきました。
防ぐには、無料で試す段階で「本番で必要な機能が、どのプランに含まれているか」を先に確認しておくことです。無料で試せる範囲と、本番で必要な範囲は違います。
無料の期間に、必ずやっておくべきこと
無料で試している間に、次の3つをやっておいてください。これをやるかどうかで、有料に移ったあとの立ち上がりが変わります。
1. 実際の質問を記録する。無料プランでも会話のログは見られることがほとんどです。どんな質問が来るかを集めてください。これが本番の設計図になります。
2. 答えられなかった質問を数える。何件のうち何件が答えられなかったか。この比率が、必要な資料の量を教えてくれます。
3. 上限にいつ達したかを記録する。月の何日目に上限へ達したかが分かれば、必要なプランの規模が計算できます。
会話のログは、無料の間から価値がある
最後にもうひとつ。会話のログそのものが、無料の期間でも十分に価値を持ちます。
私たちが支援したあるクリニックでは、無料で試している段階のログから、患者さんが何を気にしているかが見えてきました。予約の前に確認したいこと、不安に思っていること──サイトには書かれていなかった内容ばかりでした。
これはチャットボットの改善だけでなく、サイトの書き方そのものの改善につながりました。無料で試した期間が、それだけで無駄にならなかったということです。
自分で無料で作る方法はありますか?
あります。ただし「無料」の意味に注意が必要です。
オープンソースを自分のサーバーに置く
Difyのようなオープンソースの基盤を、自分で用意したサーバーに設置する方法です。ソフトウェア自体は無料です。
ただし、次の費用は別にかかります。
- サーバー代:月数百円〜数千円
- AIの利用料:使った分だけ(OpenAIなどへの支払い)
- 設置と保守の手間:これが最も大きい
社内に手を動かせる人がいれば、自由度は最も高くなります。逆に、その人がいなくなると誰も触れなくなります。ここは正直に見積もってください。
ノーコードのツールで組む
プログラムを書かずに、画面上で会話の流れを組み立てる方法です。ChatfuelやManyChatの無料枠がこれにあたります。
作ること自体は難しくありませんが、無料枠の上限が小さいため、本番運用には向きません。
AIの機能だけを直接使う
OpenAIなどのAI機能を、自社サイトに直接組み込む方法です。ツールの月額はかかりませんが、開発が必要で、AIの利用料も従量でかかります。
作り方の詳細はチャットボットの作り方|ノーコード・自作の5つの方法で解説しています。

無料ツールを使うときの注意点
会話の内容がどう扱われるかを確認する
最も重要な点です。入力された内容がAIの学習に使われるかどうかは、製品によって扱いが違います。無料プランでは学習に使われ、有料プランでは使われない、という設定になっている場合もあります。
お客様の氏名や連絡先を扱うなら、ここは必ず確認してください。
データがどこに保存されるかを確認する
海外製の製品では、データが海外のサーバーに保存されることがあります。業種や取引先によっては、これが問題になる場合があります。
サービスが終了する可能性を織り込む
無料で提供されているサービスは、方針が変わることがあります。無料枠が縮小されたり、提供自体が終わったりする可能性はゼロではありません。
登録した内容を外に持ち出せるかどうかを、始める前に確認しておいてください。
放置すると消える場合がある
前述のとおり、一定期間使わないと削除される仕組みの製品があります。「とりあえず作っておく」ができないということです。
上限に達したことに気づける仕組みを作る
無料プランで最も危険なのは、止まったことに気づかないことです。通知の設定があるなら必ず有効にし、なければ月に一度は自分で確認してください。

法人が無料で使うときに確認すべきこと
個人利用と法人利用では、確認すべきことが変わります。
1. 商用利用が認められているか
無料プランであっても、利用規約で商用利用が制限されている場合があります。規約を確認してから設置してください。
2. 誰の名義で契約するか
担当者個人のメールアドレスで登録すると、その方が退職したときに引き継げなくなります。会社の共有アドレスで登録してください。これは無料プランでも同じです。
3. 支払い情報を登録するか
無料プランでもクレジットカードの登録を求められる製品があります。上限を超えたときに自動で課金される設定になっていないか、確認してください。
4. 個人情報を扱う設計になっていないか
会話の中で氏名や連絡先を聞き取る場合、それは個人情報の取得にあたります。プライバシーポリシーへの記載が必要になる場合があります。
5. 社内の誰が管理するかを決める
無料だからと軽く始めると、担当が決まらないまま放置されます。無料であっても、お客様の目に触れる場所です。誰が見るかを決めてから設置してください。
有料にすると、いくらかかりますか?
目安を示します。
| 種類 | 月額の目安 | できるようになること |
|---|---|---|
| ルール型 | 数千円〜3万円 | 回数制限の解除・複数人での運用 |
| AI型(FAQ型) | 3万円〜15万円 | 言い換えへの対応・分析画面 |
| 生成AI型 | 1万円台〜 | 自社資料の読み込み・自由な質問への応答 |
金額の幅が大きいのは、課金の仕組み・含まれる作業・表に出ていない追加費用が製品ごとに違うためです。
費用の内訳、見落としやすい追加費用、費用対効果の考え方については、チャットボット費用の相場と内訳|2026年版・隠れコスト7選で詳しく解説しています。

無料で始める5つの手順
実際に始めるまでの流れを示します。最短で1日、余裕を見ても1週間で公開まで進めます。
手順1:いま来ている問い合わせを書き出す(1〜2時間)
最初にやるべきことは、ツールを選ぶことではありません。直近1か月の問い合わせを、内容ごとに書き出すことです。
メール、電話のメモ、LINEのやり取り──手元にあるものを見て、20〜30個ほど拾ってください。同じ内容が何度も出てくるはずです。その繰り返しが、チャットボットに任せる部分です。
この作業を飛ばすと、後で必ず作り直しになります。ここだけは省かないでください。
手順2:どこに置くかを決める(30分)
前章のとおり、お客様がすでに使っている入口に置きます。LINEから来ているならLINE、サイトから来ているならサイト。ここで製品も決まります。
手順3:登録して設置する(1〜2時間)
無料プランへの登録自体は数分で終わります。設置も、指定されたコードをサイトに貼るだけのものがほとんどです。
このとき、会社の共有アドレスで登録してください。担当者個人のアドレスで作ると、後で引き継げなくなります。
手順4:質問と回答を30個ほど入れる(半日)
手順1で書き出した内容を登録します。100個も200個も作り込む必要はありません。30個ほど入れたら、まず公開してください。
理由は、私たちの経験上、最初に用意した想定質問の多くは実際には使われないためです。提供する側とお客様とでは、使う言葉が違います。実際の質問を見てから足したほうが、確実に当たります。
あわせて、答えられなかったときの逃げ道を必ず作ってください。「分かりません」で終わらせず、問い合わせフォームか電話番号を案内する設定にします。
手順5:2週間後にログを見る(1時間)
公開したら、2週間後にもう一度開いてください。見るのは次の3つです。
- どんな質問が来たか(想定と違っていたはずです)
- 答えられなかった質問は何件か(これが足すべき内容です)
- 無料枠をどれくらい使ったか(有料に移る時期の目安になります)
この1時間を月に一度取れるかどうかが、半年後の状態を決めます。逆に言えば、月1時間で足ります。
よくある質問

Q1. チャットボットは無料ですか?

A1. 無料で使えるものがあります。多くの製品に無料プランが用意されており、LINE公式アカウントのように月額0円から始められるものもあります。ただし、答えられる回数、使える人数、機能に制限があるのが一般的です。

Q2. チャットボットを無料で作る方法はありますか?

A2. あります。Difyのようなオープンソースの基盤を自分のサーバーに置く方法、ノーコードのツールの無料枠を使う方法などです。ただしソフトウェアが無料でも、サーバー代とAIの利用料は別途かかることがほとんどです。

Q3. 無料プランのまま本番で使い続けられますか?

A3. 問い合わせ件数が非常に少なければ可能です。ただし上限に達した時点で反応しなくなり、それに気づかないまま取りこぼすことが起きます。月に一度は利用状況を確認してください。

Q4. 無料プランと無料トライアルは何が違いますか?

A4. 無料プランは期限なく使えるもの、無料トライアルは一定期間だけ有料機能を試せるものです。「Free plan」「無料プラン」と書かれているかを確認してください。

Q5. 無料のチャットボットでもAIは使えますか?

A5. 製品によります。無料プランにはAIのクレジットが含まれない製品もあります。AI機能を使いたい場合は、無料の範囲に含まれるかを事前に確認してください。

Q6. 無料で使うと、提供元の名前が表示されますか?

A6. 表示される製品があります。自社サイトに他社の名前が出ることになるため、お客様に見られる場所として許容できるかを判断してください。

Q7. 無料で試したあと、データは引き継げますか?

A7. 同じ製品の有料プランへ移る場合は、引き継げるのが一般的です。別の製品へ乗り換える場合は、登録内容を持ち出せるかどうかを事前に確認してください。

Q8. 中小企業なら無料で十分ですか?

A8. 問い合わせが月に数件程度なら、無料でも足ります。月20件以上あり、その半分以上が似た内容であれば、有料に切り替える価値があります。
まとめ
チャットボットは無料で使えます。ただし、答えられる回数、使える人数、自社の資料を読み込ませる枠に制限があります。この3つが、無料と有料を分ける境目です。
無料で始めること自体は、正しい判断です。実際に動かしてみなければ、自社に何が必要かは分かりません。ただし、無料で試している間に、実際の質問を記録し、答えられなかった質問を数え、いつ上限に達したかを控えておいてください。この3つが、有料に移るときの判断材料になります。
最も避けたいのは、上限に達して止まっていることに気づかないまま、問い合わせを取りこぼすことです。無料で運用するなら、月に一度は利用状況を確認する習慣を作ってください。
あわせてお読みください。


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