チャットボットは無料で使える?無料ツール10選と注意点

AI
この記事は約21分で読めます。

結論から申し上げます。チャットボットは無料で使えます。ただし、無料でできることには、はっきりとした境目があります。

この記事では次のことをお伝えします。

  • 無料で使えるチャットボット10製品と、それぞれの無料プランで何ができるか
  • 無料プランでできること・できないこと
  • どの時点で有料に切り替えるべきかの判断基準
  • 私たちが実際に無料で始めて、有料に移ったときの話
  • 法人で使う前に必ず確認すべきこと

私たちデジタルレクリムは、チャットボットを自社で開発し、お客様に提供しています。「まず無料で試したい」というご相談は非常に多く、実際に無料から始めていただくこともあります。その経験から、無料で足りる場合と足りない場合の線引きをお伝えします。

なお、本記事の料金・条件は2026年9月1日時点で各社の公式ページに掲載されていた内容にもとづきます。変更されることがありますので、契約前には必ず公式ページをご確認ください。

  1. チャットボットは無料で使えますか?
  2. 無料で使えるチャットボット10選
    1. 1. LINE公式アカウント
    2. 2. Zoho SalesIQ
    3. 3. Crisp
    4. 4. Tidio
    5. 5. Chatbase
    6. 6. Dify
    7. 7. ManyChat
    8. 8. Chatfuel
    9. 9. HubSpot
    10. 10. Microsoft Copilot Studio
    11. 10製品の無料枠のまとめ
  3. 目的別|どれを選べばよいか
    1. まずは何も考えず試したい
    2. 自社サイトに置きたい
    3. 生成AI型がどういうものか触りたい
    4. InstagramやMessengerのDMを自動化したい
    5. 自由に作り込みたい/社内に技術者がいる
    6. 問い合わせを営業につなげたい
    7. すでにMicrosoft 365を使っている
    8. 迷ったときの決め方
  4. 無料プランでできること
    1. よくある質問への自動応答
    2. 選択肢を出して案内する
    3. 営業時間外の受付
    4. 設置と見た目の調整
    5. 会話の記録を見る
  5. 無料プランでできないこと
    1. 1. 答えられる回数に上限がある
    2. 2. 自社の資料を読み込ませられない、または枠が小さい
    3. 3. AIの機能が含まれない
    4. 4. 担当者への引き継ぎができない
    5. 5. 提供元の名前が表示される
    6. 6. 使える人数が少ない
    7. 7. 一定期間使わないと消える
  6. 無料と有料の分かれ目はどこか
    1. 基準1:無料枠の上限に届いたら、それは使われているということ
    2. 基準2:月20件以上の問い合わせがあり、半分以上が似た内容
    3. 基準3:「分かりません」で終わる会話が増えてきた
    4. 基準4:複数人で見る必要が出てきた
    5. 基準5:問い合わせが売上につながり始めた
  7. 【当社の運用実績から】無料で始めて、有料に移ったときの話
    1. 無料で始めるのは、正しい判断です
    2. ただし、無料のまま本番に出すと必ず詰まります
    3. 安く契約して、結局作り直した例
    4. 無料の期間に、必ずやっておくべきこと
    5. 会話のログは、無料の間から価値がある
  8. 自分で無料で作る方法はありますか?
    1. オープンソースを自分のサーバーに置く
    2. ノーコードのツールで組む
    3. AIの機能だけを直接使う
  9. 無料ツールを使うときの注意点
    1. 会話の内容がどう扱われるかを確認する
    2. データがどこに保存されるかを確認する
    3. サービスが終了する可能性を織り込む
    4. 放置すると消える場合がある
    5. 上限に達したことに気づける仕組みを作る
  10. 法人が無料で使うときに確認すべきこと
    1. 1. 商用利用が認められているか
    2. 2. 誰の名義で契約するか
    3. 3. 支払い情報を登録するか
    4. 4. 個人情報を扱う設計になっていないか
    5. 5. 社内の誰が管理するかを決める
  11. 有料にすると、いくらかかりますか?
  12. 無料で始める5つの手順
    1. 手順1:いま来ている問い合わせを書き出す(1〜2時間)
    2. 手順2:どこに置くかを決める(30分)
    3. 手順3:登録して設置する(1〜2時間)
    4. 手順4:質問と回答を30個ほど入れる(半日)
    5. 手順5:2週間後にログを見る(1時間)
  13. よくある質問
  14. まとめ

チャットボットは無料で使えますか?

使えます。無料で使う方法は、大きく3通りあります。

方法内容向いている場合
1. 無料プラン有料ツールに用意された、ずっと使える無料の枠問い合わせ件数が少ない
2. 無料トライアル7日〜30日程度、有料機能をすべて試せる本格導入の前に確かめたい
3. 自分で作るオープンソースやノーコードで自作する社内に手を動かせる人がいる

ただし、1と2はまったく別物です。ここを取り違えると「無料だと思って始めたら1週間で止まった」ということが起きます。

無料トライアルは期限が来れば終わります。ずっと無料で使いたいなら、「Free plan」「無料プラン」と書かれているものを選んでください。「無料で試す」「Free trial」はトライアルです。

無料で使えるチャットボット10選

無料プラン、または無料で始められる製品を10挙げます。制限の内容は製品ごとに大きく違いますので、そこを中心に整理しました。

1. LINE公式アカウント

日本の中小企業にとって、最も現実的な出発点です。コミュニケーションプランは月額0円で、自動応答の機能を使えます。

無料の範囲は月200通のメッセージまで。この枠を超えると、追加でメッセージを送ることはできません(コミュニケーションプランでは追加購入ができない仕組みです)。

有料に上げる場合、ライトプランが月額5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランが月額15,000円(税別)で30,000通です。スタンダードプランのみ、超過分を1通あたり約3円(税別)で追加できます。

向いている場合:すでにLINEでお客様とつながっている。店舗、飲食、美容、クリニックなど。

2. Zoho SalesIQ

Webサイトに設置するチャットの製品です。無料プランが用意されています。

無料プランの内容は、オペレーター3名まで、訪問者の分析が月10,000人まで、チャットセッションが月100件までとなっています。

チャット100件という枠は、小規模なサイトであれば十分に足ります。無料プランで3名まで使えるのは、この価格帯では珍しい条件です。別途、15日間の無料トライアルも用意されています(クレジットカード不要)。

向いている場合:自社サイトに設置したい。複数人で対応したい。

3. Crisp

海外製の、サイト設置型のチャットです。「Free Forever」という、期限のない無料プランがあります。

無料プランには2席(2名分のアカウント)が含まれ、Webサイトのチャットウィジェットが使えます。ただし公式ページに明記されているとおり、無料プランにはAIのクレジットが含まれません。つまり、AIによる自動応答は無料の範囲では使えません。

有料プランは、Miniが月45ドル、Essentialsが月95ドル、Plusが月295ドルです。

向いている場合:まず有人チャットとして使い、後からAIを足したい。

4. Tidio

こちらも海外製で、月0ドルの無料プランがあります。有料はStarterが月24.17ドル(会話100件まで)、Growthが月49.17ドルから、Plusが月300ドルからという構成です。

Tidioの料金は「Billable conversations(課金対象の会話数)」で決まります。問い合わせが増えれば費用も上がる仕組みなので、繁忙期のある業種では試算しておく必要があります。

向いている場合:問い合わせ件数が読めていて、少ない。

5. Chatbase

自社の資料を読み込ませて答えさせる、生成AI型の製品です。無料プランは月0ドルで使えます。

ただし制限は明確です。月50メッセージまで、メンバーは1名まで、利用できるモデルも限定的です。さらに公式ページには、無料プランでは14日間使われないとエージェントが削除されると記載されています。

有料はHobbyが月40ドル(月700メッセージ・2名)、Standardが月150ドル、Proが月500ドルです。

向いている場合:生成AI型がどういうものか、まず触ってみたい。月50件は動作確認向けの枠です。

6. Dify

ノーコードでAIアプリを作れる開発基盤です。使い方が2通りあります。

ひとつは、提供元のクラウドを使う方法。Sandboxプランが無料で、200メッセージ分のクレジットが付きます。OpenAI、Anthropic、Geminiなど複数のモデルを試せる枠です。

もうひとつは、オープンソース版を自分のサーバーに置く方法です。ソフトウェア自体は無料で、ワークスペースは1つという条件です。ただしサーバー代とAIの利用料は別途かかります。

向いている場合:社内に手を動かせる人がいる。自由に作り込みたい。

7. ManyChat

InstagramやFacebook Messenger、WhatsApp、TikTokといったSNS向けの自動応答に強い製品です。無料プランは月0ドル。

制限は月25件のアクティブな連絡先まで、接続できるチャネルは2つまでです。25件という枠はかなり小さいので、実質は動作確認用と考えたほうが安全です。

有料はEssentialが月14ドルから、Proが月29ドルからです。

向いている場合:InstagramのDM対応を自動化したい。

8. Chatfuel

こちらもSNS向けに強い製品で、クレジットカードの登録なしで無料で始められます。

無料で使える範囲には、自動返信、フローを組み立てる画面、連絡先の管理と分類、あらかじめ用意されたテンプレートが含まれます。

向いている場合:まずクレジットカードを登録せずに触ってみたい。

9. HubSpot

営業支援・顧客管理のツールとして知られていますが、無料のチャットボット作成機能が含まれています。

特徴は、顧客管理の仕組みと最初からつながっていることです。チャットで受けた問い合わせが、そのまま顧客の情報として蓄積されます。チャットボット単体で見るより、顧客管理まで含めて考えると価値が出ます。

向いている場合:問い合わせを受けたあと、営業として追いかけたい。

10. Microsoft Copilot Studio

Microsoftが提供する、AIエージェントを作るための基盤です。無料で試すことができます。

ただし公式ページに注記があるとおり、エージェントを実際に使うにはAzureのサブスクリプションが必要です。「無料で試す」と「無料で運用する」は別だという点にご注意ください。

料金は、あらかじめクレジットを購入しておく方式が用意されています。

向いている場合:すでにMicrosoft 365やAzureを使っている。社内向けに作りたい。

10製品の無料枠のまとめ

製品無料の形主な上限有料の開始価格
LINE公式アカウント無料プラン月200通月5,000円(税別)
Zoho SalesIQ無料プランチャット月100件・3名公式ページに記載
Crisp無料プラン(期限なし)2席・AIクレジットなし月45ドル
Tidio無料プラン会話数で課金月24.17ドル
Chatbase無料プラン月50通・1名・14日で削除月40ドル
Dify無料プラン/自前設置200クレジット/1ワークスペース公式ページに記載
ManyChat無料プラン月25連絡先・2チャネル月14ドル
Chatfuel無料で開始公式ページに記載公式ページに記載
HubSpot無料ツール公式ページに記載公式ページに記載
Copilot Studio無料で試用運用にAzure契約が必要クレジット購入制

※2026年9月1日時点で各社公式ページに掲載されていた内容です。ドル建ての製品は為替により円換算額が変わります。

目的別|どれを選べばよいか

10製品を並べても、結局どれかで迷います。目的から逆に絞ると早く決まります。

まずは何も考えず試したい

LINE公式アカウントから始めるのが最も現実的です。日本語で完結し、費用は0円、お客様の側も使い慣れています。月200通という枠はありますが、「自動応答とはどういうものか」を掴むには十分です。

すでにLINE公式アカウントをお持ちなら、今日から追加費用なしで始められます。

自社サイトに置きたい

Zoho SalesIQCrispが候補になります。

Zoho SalesIQは無料で3名まで使え、チャットが月100件まで。複数人で交代しながら見たい場合はこちらです。

Crispは無料プランが期限なしで2席。まず有人チャットとして始め、後からAIを足したい場合に向きます。ただし無料の範囲にAIは含まれません。

生成AI型がどういうものか触りたい

Chatbaseが最も手軽です。自社の資料を読み込ませて、その場で答えを作らせる仕組みを、月50通の枠で体験できます。

ただし14日間使わないと消えるため、試すと決めた週にまとめて触ってください。

InstagramやMessengerのDMを自動化したい

ManyChatChatfuelです。ManyChatは無料で月25連絡先・2チャネルまで、Chatfuelはクレジットカードなしで始められます。

いずれも無料枠は小さいため、使い勝手を確かめる目的と割り切ってください。

自由に作り込みたい/社内に技術者がいる

Difyです。クラウド版のSandboxで200クレジット分を試し、続けると決めたらオープンソース版を自社サーバーに置く、という進め方ができます。

私たちが提供しているチャットボットも、この基盤の上に作っています。作り込みの自由度は最も高い一方、設置と保守を担当できる人が要ります。

問い合わせを営業につなげたい

HubSpotです。チャットで受けた問い合わせが、そのまま顧客の情報として残ります。問い合わせを受けたあとに追いかける前提であれば、チャットボット単体で選ぶより理にかなっています。

すでにMicrosoft 365を使っている

Copilot Studioが候補です。ただし実際に運用するにはAzureの契約が必要になるため、「無料で試す」の先に費用が発生する点は押さえておいてください。社内向けの用途に向いています。

迷ったときの決め方

それでも決まらない場合は、いま来ている問い合わせが、どこから来ているかを見てください。

  • LINEから来ている → LINE公式アカウント
  • サイトのフォームから来ている → Zoho SalesIQ か Crisp
  • InstagramのDMから来ている → ManyChat か Chatfuel
  • 電話が多い → まずサイトに置く(Zoho SalesIQ か Crisp)

お客様がすでに使っている入口に置くのが、最も早く結果が出ます。新しい入口を作って、そこに来てもらうところから始めると時間がかかります。

目的や規模ごとに向いているチャットボットの型を示した図

無料プランでできること

製品によって差はありますが、無料でもここまではできるという共通部分があります。

よくある質問への自動応答

営業時間、料金、アクセスといった、決まった質問への自動返答は、ほとんどの無料プランで使えます。最も件数が多く、最も自動化しやすい部分なので、ここだけでも効果はあります。

選択肢を出して案内する

「ご用件をお選びください」と選択肢を出し、選んでもらって案内する形も、無料の範囲で作れます。文字を入力してもらうより離脱が少なく、無料プランと相性がよい作り方です。

営業時間外の受付

夜間や休日に「明日ご連絡します」と伝え、連絡先を聞いておく。この使い方は無料でも実現できます。取りこぼしを減らす効果としては、これだけでも小さくありません。

設置と見た目の調整

サイトへの設置、色や位置の調整、表示するページの指定といった基本的な設定は、無料の範囲で行えるのが一般的です。

会話の記録を見る

どんな質問が来たかを見る機能は、多くの無料プランに含まれています。これが実は最も価値があります。後の章で詳しく述べます。

無料プランでできないこと

ここが本題です。無料プランで制限されやすい機能を、実務で困る順に挙げます。

1. 答えられる回数に上限がある

最も多い制限です。月に答えられる回数が決まっており、超えると止まります。

Chatbaseは月50通、ManyChatは月25件の連絡先、LINE公式アカウントは月200通。数字を見れば分かるとおり、本格運用には足りません。

そして厄介なのは、上限に達した瞬間、お客様には何も表示されなくなることです。問い合わせが増えた月ほど、取りこぼしが増えます。

2. 自社の資料を読み込ませられない、または枠が小さい

生成AI型の価値は「自社の資料を読み込ませて答えさせる」ことにあります。ところが無料プランでは、この登録数が小さく制限されていることが多くあります。

料金表、サービス説明、よくある質問──必要な資料を入れきれなければ、答えられる範囲も狭くなります。

3. AIの機能が含まれない

Crispの無料プランには、公式ページに明記されているとおりAIのクレジットが含まれません。つまり無料の範囲では、あらかじめ決めた応答しか返せません。

「AIチャットボットを無料で」と考えていると、ここで食い違いが起きます。

4. 担当者への引き継ぎができない

答えられない質問が来たときに、担当者のチャットへ引き継ぐ機能です。これが有料になっている製品は少なくありません。

引き継げないと、「分かりません」で会話が終わります。せっかく興味を持ってくれた方を、そこで手放すことになります。

5. 提供元の名前が表示される

チャット画面の下に「Powered by ○○」と表示されるものがあります。自社サイトに他社の名前が出るということです。

気にならない場合もありますが、お客様に見られる場所である以上、判断は必要です。

6. 使える人数が少ない

Chatbaseは1名、Crispは2席、ManyChatも制限があります。複数人で運用したい場合、無料では回りません。

7. 一定期間使わないと消える

Chatbaseの公式ページには、無料プランでは14日間使われないとエージェントが削除されると記載されています。

「作ったまま放置していたら消えていた」ということが起こり得ます。無料プランを長期の保管場所として使うことはできません。

無料プランでできることとできないことを整理した図

無料と有料の分かれ目はどこか

判断の基準を、はっきりお伝えします。

基準1:無料枠の上限に届いたら、それは使われているということ

最も分かりやすい合図です。上限に達したということは、お客様がそれだけ使っているということにほかなりません。

ここで有料に切り替えず放置すると、上限を超えた分がまるごと取りこぼしになります。

基準2:月20件以上の問い合わせがあり、半分以上が似た内容

この状態であれば、有料に切り替える価値があります。逆に月に数件しか来ないのであれば、無料のまま、あるいは人が応対したほうが良い場合もあります。

基準3:「分かりません」で終わる会話が増えてきた

資料の登録枠が足りていない合図です。答えられない質問が積み上がっているなら、無料の範囲を超えています。

基準4:複数人で見る必要が出てきた

担当が1人では回らなくなった時点で、人数の制限に当たります。

基準5:問い合わせが売上につながり始めた

チャット経由で相談や注文が入り始めたなら、そこは投資すべき場所です。月数千円を惜しんで機会を逃すのは、計算が合いません。

【当社の運用実績から】無料で始めて、有料に移ったときの話

ここからは、私たち自身の経験と、お客様を支援してきた経験をお伝えします。無料で始めること自体は、私たちも勧めています。ただし、そのあとに何が起きるかを知っておいていただきたいのです。

無料で始めるのは、正しい判断です

まず前提として、いきなり有料で契約するより、無料で触ってから決めるほうが確実です。

理由は単純で、実際に動かしてみないと、自社に何が必要かが分からないためです。カタログの機能一覧を見ても、自社にとって重要かどうかは判断できません。

触ってみると、必要だと思っていた機能が要らなかったり、逆に考えてもいなかった機能が必須だと分かったりします。この気づきは、無料で得られる最も大きな価値です。

ただし、無料のまま本番に出すと必ず詰まります

私たちが見てきた中で、無料から有料に移る決め手になったのは、たいてい次のどれかでした。

資料が入りきらなかった。料金表とサービス説明を入れた時点で枠がいっぱいになり、よくある質問を入れられませんでした。結果、肝心の質問に答えられませんでした。

引き継ぎができなかった。答えられない質問が来たときに「分かりません」で終わってしまい、そこで会話が切れていました。ログを見て初めて気づきました。

月の途中で止まった。問い合わせが増えた月に上限へ達し、以降まったく反応しなくなりました。止まったことに、しばらく気づきませんでした。これが最も痛い失敗です。

安く契約して、結局作り直した例

これは有料プランの話ですが、無料からの延長線上にあるので触れておきます。

あるお客様は、月額の安いプランで契約されました。ところが、自社の資料を読み込ませる機能が上位プランにしかなく、想定していた使い方ができませんでした。結果として、契約し直して作り直すことになりました。

最初に払った費用と、作り直しの費用の両方がかかったことになります。安く始めたつもりが、高くつきました。

防ぐには、無料で試す段階で「本番で必要な機能が、どのプランに含まれているか」を先に確認しておくことです。無料で試せる範囲と、本番で必要な範囲は違います。

無料の期間に、必ずやっておくべきこと

無料で試している間に、次の3つをやっておいてください。これをやるかどうかで、有料に移ったあとの立ち上がりが変わります。

1. 実際の質問を記録する。無料プランでも会話のログは見られることがほとんどです。どんな質問が来るかを集めてください。これが本番の設計図になります。

2. 答えられなかった質問を数える。何件のうち何件が答えられなかったか。この比率が、必要な資料の量を教えてくれます。

3. 上限にいつ達したかを記録する。月の何日目に上限へ達したかが分かれば、必要なプランの規模が計算できます。

会話のログは、無料の間から価値がある

最後にもうひとつ。会話のログそのものが、無料の期間でも十分に価値を持ちます。

私たちが支援したあるクリニックでは、無料で試している段階のログから、患者さんが何を気にしているかが見えてきました。予約の前に確認したいこと、不安に思っていること──サイトには書かれていなかった内容ばかりでした。

これはチャットボットの改善だけでなく、サイトの書き方そのものの改善につながりました。無料で試した期間が、それだけで無駄にならなかったということです。

自分で無料で作る方法はありますか?

あります。ただし「無料」の意味に注意が必要です。

オープンソースを自分のサーバーに置く

Difyのようなオープンソースの基盤を、自分で用意したサーバーに設置する方法です。ソフトウェア自体は無料です。

ただし、次の費用は別にかかります。

  • サーバー代:月数百円〜数千円
  • AIの利用料:使った分だけ(OpenAIなどへの支払い)
  • 設置と保守の手間:これが最も大きい

社内に手を動かせる人がいれば、自由度は最も高くなります。逆に、その人がいなくなると誰も触れなくなります。ここは正直に見積もってください。

ノーコードのツールで組む

プログラムを書かずに、画面上で会話の流れを組み立てる方法です。ChatfuelやManyChatの無料枠がこれにあたります。

作ること自体は難しくありませんが、無料枠の上限が小さいため、本番運用には向きません。

AIの機能だけを直接使う

OpenAIなどのAI機能を、自社サイトに直接組み込む方法です。ツールの月額はかかりませんが、開発が必要で、AIの利用料も従量でかかります。

作り方の詳細はチャットボットの作り方|ノーコード・自作の5つの方法で解説しています。

ノーコード基盤で生成AIチャットボットを自作する流れのイメージ

無料ツールを使うときの注意点

会話の内容がどう扱われるかを確認する

最も重要な点です。入力された内容がAIの学習に使われるかどうかは、製品によって扱いが違います。無料プランでは学習に使われ、有料プランでは使われない、という設定になっている場合もあります。

お客様の氏名や連絡先を扱うなら、ここは必ず確認してください。

データがどこに保存されるかを確認する

海外製の製品では、データが海外のサーバーに保存されることがあります。業種や取引先によっては、これが問題になる場合があります。

サービスが終了する可能性を織り込む

無料で提供されているサービスは、方針が変わることがあります。無料枠が縮小されたり、提供自体が終わったりする可能性はゼロではありません。

登録した内容を外に持ち出せるかどうかを、始める前に確認しておいてください。

放置すると消える場合がある

前述のとおり、一定期間使わないと削除される仕組みの製品があります。「とりあえず作っておく」ができないということです。

上限に達したことに気づける仕組みを作る

無料プランで最も危険なのは、止まったことに気づかないことです。通知の設定があるなら必ず有効にし、なければ月に一度は自分で確認してください。

無料のチャットボットを使うときに確認すべき点をまとめた図

法人が無料で使うときに確認すべきこと

個人利用と法人利用では、確認すべきことが変わります。

1. 商用利用が認められているか

無料プランであっても、利用規約で商用利用が制限されている場合があります。規約を確認してから設置してください。

2. 誰の名義で契約するか

担当者個人のメールアドレスで登録すると、その方が退職したときに引き継げなくなります。会社の共有アドレスで登録してください。これは無料プランでも同じです。

3. 支払い情報を登録するか

無料プランでもクレジットカードの登録を求められる製品があります。上限を超えたときに自動で課金される設定になっていないか、確認してください。

4. 個人情報を扱う設計になっていないか

会話の中で氏名や連絡先を聞き取る場合、それは個人情報の取得にあたります。プライバシーポリシーへの記載が必要になる場合があります。

5. 社内の誰が管理するかを決める

無料だからと軽く始めると、担当が決まらないまま放置されます。無料であっても、お客様の目に触れる場所です。誰が見るかを決めてから設置してください。

有料にすると、いくらかかりますか?

目安を示します。

種類月額の目安できるようになること
ルール型数千円〜3万円回数制限の解除・複数人での運用
AI型(FAQ型)3万円〜15万円言い換えへの対応・分析画面
生成AI型1万円台〜自社資料の読み込み・自由な質問への応答

金額の幅が大きいのは、課金の仕組み・含まれる作業・表に出ていない追加費用が製品ごとに違うためです。

費用の内訳、見落としやすい追加費用、費用対効果の考え方については、チャットボット費用の相場と内訳|2026年版・隠れコスト7選で詳しく解説しています。

チャットボット3つの型で価格差が生まれる理由を示した図

無料で始める5つの手順

実際に始めるまでの流れを示します。最短で1日、余裕を見ても1週間で公開まで進めます。

手順1:いま来ている問い合わせを書き出す(1〜2時間)

最初にやるべきことは、ツールを選ぶことではありません。直近1か月の問い合わせを、内容ごとに書き出すことです。

メール、電話のメモ、LINEのやり取り──手元にあるものを見て、20〜30個ほど拾ってください。同じ内容が何度も出てくるはずです。その繰り返しが、チャットボットに任せる部分です。

この作業を飛ばすと、後で必ず作り直しになります。ここだけは省かないでください。

手順2:どこに置くかを決める(30分)

前章のとおり、お客様がすでに使っている入口に置きます。LINEから来ているならLINE、サイトから来ているならサイト。ここで製品も決まります。

手順3:登録して設置する(1〜2時間)

無料プランへの登録自体は数分で終わります。設置も、指定されたコードをサイトに貼るだけのものがほとんどです。

このとき、会社の共有アドレスで登録してください。担当者個人のアドレスで作ると、後で引き継げなくなります。

手順4:質問と回答を30個ほど入れる(半日)

手順1で書き出した内容を登録します。100個も200個も作り込む必要はありません。30個ほど入れたら、まず公開してください。

理由は、私たちの経験上、最初に用意した想定質問の多くは実際には使われないためです。提供する側とお客様とでは、使う言葉が違います。実際の質問を見てから足したほうが、確実に当たります。

あわせて、答えられなかったときの逃げ道を必ず作ってください。「分かりません」で終わらせず、問い合わせフォームか電話番号を案内する設定にします。

手順5:2週間後にログを見る(1時間)

公開したら、2週間後にもう一度開いてください。見るのは次の3つです。

  • どんな質問が来たか(想定と違っていたはずです)
  • 答えられなかった質問は何件か(これが足すべき内容です)
  • 無料枠をどれくらい使ったか(有料に移る時期の目安になります)

この1時間を月に一度取れるかどうかが、半年後の状態を決めます。逆に言えば、月1時間で足ります。

よくある質問

ご相談者

Q1. チャットボットは無料ですか?

担当者

A1. 無料で使えるものがあります。多くの製品に無料プランが用意されており、LINE公式アカウントのように月額0円から始められるものもあります。ただし、答えられる回数、使える人数、機能に制限があるのが一般的です。

ご相談者

Q2. チャットボットを無料で作る方法はありますか?

担当者

A2. あります。Difyのようなオープンソースの基盤を自分のサーバーに置く方法、ノーコードのツールの無料枠を使う方法などです。ただしソフトウェアが無料でも、サーバー代とAIの利用料は別途かかることがほとんどです。

ご相談者

Q3. 無料プランのまま本番で使い続けられますか?

担当者

A3. 問い合わせ件数が非常に少なければ可能です。ただし上限に達した時点で反応しなくなり、それに気づかないまま取りこぼすことが起きます。月に一度は利用状況を確認してください。

ご相談者

Q4. 無料プランと無料トライアルは何が違いますか?

担当者

A4. 無料プランは期限なく使えるもの、無料トライアルは一定期間だけ有料機能を試せるものです。「Free plan」「無料プラン」と書かれているかを確認してください。

ご相談者

Q5. 無料のチャットボットでもAIは使えますか?

担当者

A5. 製品によります。無料プランにはAIのクレジットが含まれない製品もあります。AI機能を使いたい場合は、無料の範囲に含まれるかを事前に確認してください。

ご相談者

Q6. 無料で使うと、提供元の名前が表示されますか?

担当者

A6. 表示される製品があります。自社サイトに他社の名前が出ることになるため、お客様に見られる場所として許容できるかを判断してください。

ご相談者

Q7. 無料で試したあと、データは引き継げますか?

担当者

A7. 同じ製品の有料プランへ移る場合は、引き継げるのが一般的です。別の製品へ乗り換える場合は、登録内容を持ち出せるかどうかを事前に確認してください。

ご相談者

Q8. 中小企業なら無料で十分ですか?

担当者

A8. 問い合わせが月に数件程度なら、無料でも足ります。月20件以上あり、その半分以上が似た内容であれば、有料に切り替える価値があります。

まとめ

チャットボットは無料で使えます。ただし、答えられる回数、使える人数、自社の資料を読み込ませる枠に制限があります。この3つが、無料と有料を分ける境目です。

無料で始めること自体は、正しい判断です。実際に動かしてみなければ、自社に何が必要かは分かりません。ただし、無料で試している間に、実際の質問を記録し、答えられなかった質問を数え、いつ上限に達したかを控えておいてください。この3つが、有料に移るときの判断材料になります。

最も避けたいのは、上限に達して止まっていることに気づかないまま、問い合わせを取りこぼすことです。無料で運用するなら、月に一度は利用状況を確認する習慣を作ってください。

あわせてお読みください。

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