PBC(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)とは、株主への利益還元と公共の利益の両方を追求することを定款上の義務とした、米国の州法に基づく会社形態です。通常の株式会社とは異なり、利益だけでなく社会や環境への貢献を経営判断の正式な基準にできる点が特徴です。
意味
通常の株式会社では、経営者は株主利益の最大化を最優先する義務を負うと解されることが一般的です。これに対してPBCは、定款に特定の「公共の利益(パブリック・ベネフィット)」を掲げ、利益追求とその利益の実現を両立させることを取締役の義務として明文化します。環境保護、地域社会への貢献、従業員の処遇改善など、掲げる目的は会社ごとに定めます。株主から、利益最大化のみを基準に経営判断を訴えられるリスクを抑えられる点が、通常の株式会社との違いです。あわせて、公共の利益の達成状況について、定期的に報告書を作成し開示することが求められる場合があります。米国の複数の州で法制度が整備されており、営利と非営利の中間に位置づけられる会社形態として扱われています。
使われる場面と具体例
- 社会課題の解決を事業目的に掲げるスタートアップが、投資家に対して「利益だけを追わない経営方針」を法的に裏付けるためにPBCとして設立する。
- 環境配慮型の製品を扱う企業が、将来の方針転換や買収時に理念が薄まることを防ぐ目的で、定款に公共の利益を明記する。
- 海外企業との提携や取引を検討する中小企業が、相手先の企業形態を調べる際に、PBCという表記を目にして会社の性格を把握する。
中小企業が押さえたい点
- PBCは米国の法制度に基づく会社形態であり、日本国内で同じ法的枠組みをそのまま使うことはできません。日本企業が検討するのは、主に米国に子会社や関連会社を設立する場合です。
- 取引先や提携先が「PBC」や「Benefit Corporation」と名乗っている場合、通常の株式会社とは設立目的や開示義務が異なる可能性があるため、契約前に定款や報告書の内容を確認すると安心です。
- 似た名称に、第三者機関による民間の認証制度である「B Corp(ビーコープ)」があります。PBCは法的な会社形態、B Corpは認証制度という違いがあるため、混同しないよう注意が必要です。
よくある誤解
- PBCを非営利団体と同じものと考える誤解があります。PBCは営利を目的とした株式会社であり、株主への配当も可能です。公共の利益の追求が義務に加わる点が異なります。
- 日本法人を設立すれば自動的にPBCになれると考える誤解もあります。PBCは米国の特定の州法に基づく制度であり、日本の会社法には対応する制度が存在しません。
よくある質問
Q. 日本企業がPBCになることはできますか。
A. 日本の会社法にはPBCに相当する制度がないため、日本法人のまま名乗ることはできません。米国に法人を設立する場合に選択肢となります。
Q. PBCとB Corp認証はどう違いますか。
A. PBCは法律上の会社形態そのものを指し、B Corp認証は民間機関が事業活動の基準を審査して与える認証制度です。両者は別の枠組みであり、併用している企業もあります。
Q. PBCにすると株主への配当はできなくなりますか。
A. 配当は可能です。PBCは利益追求を否定するものではなく、公共の利益の追求も同時に義務づける制度です。
関連する用語
関連記事
ほかの用語を探す



















