YouTubeのホームを開くたびに、「また同じような動画が並んでいる」「今はその話題を見たいわけではない」と感じたことはないでしょうか。YouTubeは視聴履歴や検索履歴をもとに好みを推測しますが、仕事で調べた動画、家族が見た動画、一時的に熱中した趣味まで、おすすめ欄に影響することがあります。
そんな“おすすめ疲れ”に対して、YouTubeが新しい選択肢として打ち出したのがカスタムフィード(Custom Feeds)です。これは「夜にゆっくり見られる長編ドキュメンタリー」「通勤30分で聞けるユーモアのあるポッドキャスト」のように、見たい動画の条件を文章で伝え、目的別のおすすめ欄を作る機能です。YouTubeは2026年9月、カスタムフィードを複数作成・保存できる新機能を発表しました。新しいおすすめで自動更新される点は、YouTubeの発表内容を報じたITmedia NEWSでも確認できます。
ただし、ここで急いで「日本のYouTubeでも今日から使える」と考えるのは早計です。発表時点では米国向けに「まもなく」提供するとされ、先行実験向けのYouTubeヘルプには、米国・英語環境で利用できる実験機能と記載されています。本記事では、発表内容と先行実験の情報を混同せず、カスタムフィードでできること、想定される使い方、日本での対応状況を整理します。
また、2026年5月に発表された対話型検索機能Ask YouTubeにも注目です。従来のように「東京旅行」と単語で探すのではなく、「初めて東京に行く外国人が、3日間で食事と観光を楽しむために見るべき動画を教えて」のように、条件を含めて相談する。YouTubeは、ただ動画を並べる場所から、視聴者の目的を聞き取り、探す手間を減らす場所へ変わろうとしています。
YouTubeの「カスタムフィード」とは?

カスタムフィードとは、YouTubeのホーム画面に、自分が文章で指定した目的や気分に合わせた専用の動画フィードを作る機能です。YouTubeが発表した例には、「毎日30分の通勤で楽しめるウィットのあるポッドキャスト」「夜にくつろぐための長編ドキュメンタリー」「新しいDIYクリエイターを見つけたい」といった指示があります。
ポイントは、単にキーワードで動画を検索するのではなく、視聴シーン・長さ・雰囲気・知りたいことをまとめて伝えられることです。たとえば「料理」と入力するだけでは、レシピ、食べ歩き、料理人の密着動画、キッチン用品レビューなどが混ざるかもしれません。一方で「平日の夕食を20分で作るための、初心者向け和食レシピを見たい」と伝えれば、今この瞬間の目的に寄せた候補を期待できます。
YouTubeはカスタムフィードを、特定の「mood(気分)」「routine(日課)」「interest(興味)」に向けたホーム画面上の専用タブとして説明しています。つまり、視聴履歴から長期的な好みを推測する通常のおすすめとは別に、「今日はこれを見たい」という短期的で明示的な意図を出せる設計です。
なお、カスタムフィードは公開プレイリストではありません。先行実験に関する公式ヘルプでは、作成したフィードはアカウント固有で非公開であり、ほかの視聴者は見つけたりアクセスしたりできないとされています。自分のための視聴入口として使う機能であり、他人に共有して見せるリストとは役割が異なります。
これまでの「おすすめ」と何が違う?

これまでのYouTubeのホーム画面は、視聴履歴、検索履歴、チャンネル登録、高評価・低評価、「興味なし」「チャンネルをおすすめに表示しない」といったフィードバック、満足度アンケートなどを材料にして作られてきました。YouTubeは、こうした項目を主要なシグナルとしておすすめの仕組みで説明しています。
この仕組みは、普段よく見る動画を見つけるには便利です。しかし、視聴履歴は「今後もずっと見たいもの」だけを表すわけではありません。旅行前にホテル比較をした、仕事で競合の動画を調べた、子どもが共有テレビでアニメを見た。こうした一時的な行動も、一定程度はおすすめの手掛かりになり得ます。
そのため、通常のおすすめは「YouTubeが行動から推測した好み」、カスタムフィードは「視聴者が言葉で指定した、今の見たいもの」と捉えると分かりやすいでしょう。前者は受け身でも成り立つ発見の場、後者は目的を持って発見を設計する場です。
もちろん、カスタムフィードが通常のホーム画面を完全に置き換えるわけではありません。むしろ先行実験のYouTubeヘルプのFAQには、カスタムフィードで視聴した動画は通常の視聴履歴に追加され、メインのホームのおすすめに影響する可能性があると明記されています。つまり、カスタムフィードは通常のおすすめから独立した“完全な別空間”ではありません。「カスタムフィードを作れば通常のおすすめがリセットされる」とも考えないほうがよいでしょう。
既存のホーム画面そのものを整えたい場合は、不要な動画に「興味なし」を伝え、履歴を見直す方法が基本です。具体的な対処は、当社のYouTubeのおすすめに同じ動画ばかり表示される原因と直し方で解説しています。カスタムフィードはその代わりではなく、「普段のおすすめを壊さず、目的別の入口を増やす」役割として考えるのが現実的です。
カスタムフィードでは何ができる?

カスタムフィードの価値は、単に“人気の動画”ではなく、自分の視聴文脈に合う動画を探しやすくすることにあります。たとえば「寝る前の10分」「移動中の30分」「週末にじっくり見る」といった時間・状況を入れれば、いまの気分に合わない候補を減らせる可能性があります。「登録チャンネル以外で、初心者向けの木工クリエイターを探したい」のように、普段とは違う分野を開く使い方も考えられます。
複数保存が実装されれば、「平日の学び」「子どもと見る」「週末の趣味」のように入口を分けることもできます。視聴履歴を管理する機能というより、見たいものへの導線を目的別に設計する機能です。結果が意図と違うときは、目的や条件を自然な文章で補い、表現を少しずつ調整しましょう。
プロンプトを入力すると自分専用のフィードを作れる
カスタムフィードでは、見たい動画を文章で説明するプロンプトを入力します。特別な命令文は不要です。「誰が」「何のために」「どんな条件で見たいか」を、普段の言葉で伝えます。
「筋トレ」よりも「自宅で器具を使わず、平日の朝に10分でできる初心者向け筋トレを見たい」、「京都」よりも「初めて京都を訪れる家族が、雨の日でも楽しめる観光と食事の情報を知りたい」と書くほうが目的は明確です。先行実験では、ホーム上部の「Your custom feed」でプロンプトを入力し、専用フィードを作る流れが案内されています。
プロンプトにもコミュニティガイドラインが適用されます。通常の検索と同じく、違法・有害な内容を求める用途では使えません。
複数のカスタムフィードをホーム画面に保存できる
2026年9月のYouTube公式発表では、複数のカスタムフィードを作成・保存できると案内されています。また、YouTubeの発表をもとにしたITmedia NEWSの報道では、新しいおすすめで自動更新されると説明されています。これが実装されれば、用途ごとに毎回ゼロから検索する必要がなくなります。
「夕方の20分で見られる料理」「通勤中に聞くテック解説」「週末に家族で見る科学動画」といった入口を用意し、テーマに沿う新しい候補を受け取れるのが特徴です。
一方、先行実験向けヘルプには「一度に管理できるのは一つ」、30日間使わないプロンプトは期限切れとの説明もあります。先行実験の仕様と、2026年9月に発表された本提供時の機能案内は異なると考え、実際に利用できるようになったらアプリ内の案内を確認してください。
カスタムフィードの使い方

カスタムフィードが利用可能なアカウントでは、先行実験の公式ヘルプをもとにすると、次の流れで利用します。
- YouTubeにログインし、ホーム画面を開きます。
- ホーム画面上部の選択肢から「Your custom feed」または同等の項目を選びます。
- 見たい動画の条件を、文章で入力します。提案プロンプトが表示される場合は、そこから選ぶこともできます。
- 送信して、作成された専用フィードを確認します。
- 意図と違うときは、プロンプトを編集して条件を調整します。
先行実験では、再生・検索履歴をオンにし、デバイス言語を英語にすることが条件です。米国・英語向けの実験であるため、日本のアカウントで地域設定やVPNを変えて試すことはおすすめしません。候補が意図と違う場合は、「短い動画を中心に」「初心者向けに」のように条件を足して調整しましょう。
どんなプロンプトを入力すればいい?活用例

よいプロンプトに共通するのは、「動画のテーマ」だけで終わらせず、視聴する人・目的・場面・条件を加えていることです。専門的な書き方は必要ありません。YouTubeに相談するつもりで、見たい体験を具体的に書きましょう。
「料理動画」より「平日の夜、30分以内で作れる野菜中心の夕食レシピ」、「英語」より「通勤中に聞ける5〜10分の発音練習」と書くほうが、見たいものが伝わります。以下は日本で利用できるようになった際のたたき台です。
- 仕事の学習:「中小企業のWeb担当者が、昼休みの15分で学べるGA4とSEOの基礎解説を見たい」
- 通勤時間:「片道30分の通勤中に聞ける、最新のテクノロジーニュースとビジネス解説を探したい」
- 料理:「料理初心者でも失敗しにくい、平日の夕食向け和食レシピを15分以内の動画で見たい」
- 運動:「膝に負担をかけにくく、自宅の狭いスペースでできる20分のストレッチ動画を見たい」
- 旅行計画:「初めて東京を訪れる外国人が、3日間で食事と観光を楽しむために役立つ動画を、英語と日本語で探したい」
- 子どもとの視聴:「小学生と一緒に見られる、宇宙や生き物を楽しく学べる10分前後の科学動画を探したい」
仕事で使う場合は、会社名や顧客情報、未公開の企画を不必要に書かないようにしましょう。カスタムフィードは広告枠ではないため、自社動画だけを表示させることもできません。発信者は、視聴者がどんな目的で「見たい」と言語化するかを考え、タイトル・説明欄・内容を整えることが重要です。AI生成を含む動画制作の注意点は、生成AI動画をYouTubeで使うにはもご覧ください。
カスタムフィードは日本でも使える?

2026年10月4日時点で、カスタムフィードの日本提供日は未定です。 YouTube公式ブログ日本語版は、米国のユーザーにウェブ・モバイル・テレビ向けにまもなく提供するとしたうえで、「日本は未定」と明記しています。
先行実験の対象は米国・英語環境です。日本語入力への対応、日本での開始日、YouTube Premiumが必要かどうかは未発表です。AI機能は地域・言語ごとに段階展開されるため、利用可否はYouTubeヘルプと公式ブログで確認しましょう。
海外記事には「一つしか作れない」と「複数を保存できる」の両方の説明がありますが、先行実験と本提供に向けた発表が混在しているためです。日本で正式提供された際は、古い実験情報ではなく最新の公式案内を基準にしてください。
YouTubeのおすすめアルゴリズムはどう変わる?

カスタムフィードの登場は、YouTubeがおすすめアルゴリズムを捨てるという意味ではありません。むしろ、従来の推薦を支える仕組みに、視聴者自身が目的を言葉で加えられる入口が増える、と考えるべきです。
従来のホーム画面は再生・検索・登録などから「次に見たいもの」を予測します。カスタムフィードでは、「今週末に家具をDIYしたい」「小学生と見られる宇宙の動画がほしい」といった現在の意図を最初から渡せます。履歴による推測と、言葉による要望を組み合わせる方向への進化です。
ここで見落とせないのが、カスタムフィードで見た動画も通常の視聴履歴に加わる点です。YouTubeヘルプは、これらの視聴がメインのホームのおすすめに影響する可能性を明示しています。カスタムフィードは、通常ホームの学習から切り離された“お試し用のおすすめ欄”ではありません。見たくないテーマを通常ホームに残したくない場合は、視聴する前にこの影響を理解しておく必要があります。
ただし、YouTubeはおすすめへの影響度合いや、どのシグナルをどの比重で用いるかまでは公開していません。「プロンプトで独自のアルゴリズムを作る」「視聴履歴が不要になる」といった断定は避けましょう。確認できるのは、会話型プロンプトで専用フィードを作り、そこでの視聴が通常の履歴・おすすめにもつながり得るという点です。
Ask YouTubeが変える「検索」の体験
カスタムフィードと並べて注目したいのが、Ask YouTubeです。YouTubeは2026年5月19日のGoogle I/O 2026での発表で、複雑な質問に対し、長尺動画とShortsを横断した対話的・構造的な回答を返す会話型検索として紹介しました。追加質問で、答えを絞り込むこともできます。
「東京旅行」と検索して一覧から選ぶ代わりに、「初めて東京に行く外国人が、3日間で食事と観光を楽しむにはどの動画を見ればよい?」と条件を含めて聞けます。公式ヘルプによると、回答は長尺動画、Shorts、テキスト、質問に関係する動画クリップを組み合わせます。
2026年10月4日時点で、Ask YouTubeは米国で英語検索をするユーザーに、パソコン・モバイル・テレビで提供中です。 公式ヘルプには、利用範囲をさらに拡大中とあります。初期のPremium会員限定・限定的な実験という段階からは進んでいるため、「米国の一部ユーザーだけの実験」と表現するのは正確ではありません。日本語での提供時期は、現時点で公式発表されていません。
カスタムフィードが継続して見たいものを作る機能なら、Ask YouTubeは複雑な疑問のために動画を相談する機能です。企業・クリエイターは小手先の対策ではなく、対象者・得られることを動画冒頭、タイトル、説明欄、チャプターで明示し、視聴者の問いに直接答えることが重要です。これは、AI検索で引用されるためのAEO対策とも共通します。

カスタムフィードに関するよくある質問


Q1. カスタムフィードは、YouTubeの通常のおすすめをリセットしますか?

A. リセットする機能としては発表されていません。 カスタムフィードは、ホーム画面上に特定の目的・気分・関心に向けた専用のフィードを作る機能です。さらに、カスタムフィードで視聴した動画は通常の視聴履歴に追加され、メインのホームのおすすめに影響する可能性があるとYouTubeヘルプは説明しています。普段のおすすめを直したい場合は、「興味なし」や履歴の整理を使い、カスタムフィードは目的別の新しい入口として併用しましょう。

Q2. カスタムフィードは無料で使えますか?

A. 正式提供後の料金・加入条件は、現時点で公表されていません。 2026年9月の公式発表では、米国のWeb・モバイル・テレビに「まもなく」提供すると説明されていますが、有料プラン限定かどうかは明示されていません。先行実験のヘルプにも、料金ではなく、地域・英語設定・履歴をオンにする条件が記されています。日本提供時に条件が変わる可能性もあるため、アプリ内表示と公式ヘルプで確認してください。

Q3. カスタムフィードはいくつまで保存できますか?

A. 本提供の公式発表では複数保存が案内されていますが、先行実験のヘルプには一度に一つと書かれています。 先行実験では30日間使わないプロンプトが期限切れになる仕様も示されています。提供段階やアカウントによって仕様が異なると考えられるため、実際の画面に表示された上限を基準にしてください。

Q4. 日本語のプロンプトで使えますか?

A. 2026年10月4日時点で、日本語対応は公式発表されていません。 公開中のカスタムフィードの先行実験情報は米国・英語が対象です。日本語のプロンプトを受け付けるか、いつ日本に広がるかは不明です。利用可能になった際は、まず短い自然な日本語で入力し、必要に応じて「時間」「対象者」「動画の長さ」などの条件を足して試すとよいでしょう。

Q5. Ask YouTubeとカスタムフィードは何が違いますか?

A. カスタムフィードは目的別のおすすめ欄を作る機能、Ask YouTubeは質問に答えながら関連動画を探す会話型検索です。 たとえば「平日夜に見るドキュメンタリー」を継続して探したいならカスタムフィード、「この機種を買う前に比較動画を見たい」のように答えを得ながら絞り込みたいならAsk YouTubeが向いています。Ask YouTubeは2026年10月4日時点で、米国の英語検索に提供中で、順次拡大されています。二つは競合する機能ではなく、ホームと検索の異なる場面を支えるものです。

Q6. 企業やクリエイターは、カスタムフィードに出るための対策が必要ですか?

A. 特別な裏技より、視聴者の目的に答える動画設計が重要です。 YouTubeは特定の表示順位を保証しておらず、カスタムフィード向けの公式な最適化手法も示していません。動画が誰向けで、何が分かり、どのような場面に役立つかをタイトル・説明欄・動画冒頭で明確にし、内容と一致させることが基本です。特に比較、手順、レビュー、地域案内のように質問が具体的になりやすいテーマは、視聴者の疑問に一つずつ答える構成を意識しましょう。
まとめ|「YouTubeがおすすめする」から「自分でおすすめを作る」時代へ

YouTubeのカスタムフィードは、AIへのプロンプトを通じて、視聴者が「いま何を見たいか」を自分で指定し、目的別のおすすめ欄を持てるようにする新機能です。通常のおすすめが過去の行動から好みを推測するのに対し、カスタムフィードは、通勤、就寝前、学習、家族との視聴といった、その時々の意図を言葉で伝えられる点に新しさがあります。
一方で、日本での提供日はまだ発表されていません。2026年10月4日時点で公式に確認できるのは、米国向けの段階的な提供と、英語環境での先行実験です。「複数保存」と「一つだけ」という案内の違いも、実験段階と本提供に向けた発表の差として、最新情報を見ながら判断する必要があります。
そして、私はWebに携わる者として、この変化を単に「AIでおすすめの精度が上がる話」だとは見ていません。大きいのは、発見の主導権が少しずつユーザーの側へ戻ることです。これまでのWebは、検索順位やレコメンドが「次に何を見るべきか」を決める比重が大きかった。これからは、ユーザーが自分の状況と目的を言葉にし、プラットフォームに探し方を指示する場面が増えます。
発信する企業やクリエイターに必要なのは、アルゴリズムの裏をかくことではありません。「誰の、どんな困りごとを、どの動画で解決するのか」を、映像・タイトル・説明欄で明快に伝えることです。Ask YouTubeのような会話型検索が広がれば、曖昧なビッグキーワードだけでなく、具体的な状況に答える動画が見つかる機会も増えるでしょう。
YouTubeがおすすめしてくれる動画を待つだけでなく、自分でおすすめを作る。これは視聴者にとって便利な変化であると同時に、Webコンテンツにとっては「目的に答える力」がこれまで以上に問われる変化です。日本での提供が始まったら、まずは自分の生活や仕事で一つ、具体的なプロンプトを作って試してみてください。その体験は、これからの動画検索とコンテンツづくりを考えるヒントになるはずです。






















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