クラウドサービス上に保存されたデータを、設定ミスや不正アクセスから守るための境界型セキュリティの仕組みです。特定のクラウドサービス(データベースやストレージなど)をひとまとめにして「安全な領域」を作り、その境界を越えたデータのやり取りを制限します。
意味
通常、クラウド上のアカウントやAPIキーといった認証情報が漏れると、権限を持つ第三者は外部のどこからでもデータにアクセスできてしまいます。VPC Service Controlsは、こうした認証情報の漏洩や設定ミスが起きても被害を抑えるための仕組みです。あらかじめ指定したクラウドサービスの集まりを「境界」として囲み、その内側と外側の通信に制限をかけます。境界の外からの正規でないアクセスを遮断し、境界の内側にあるデータが外部へ持ち出されることを防ぎます。IDやパスワードによる認証とは別の層で守りを固める点が特徴です。ネットワークの入口を制限するファイアウォールに近い考え方ですが、対象はネットワークの経路ではなく、クラウド上のサービスやデータそのものです。
使われる場面と具体例
- 情報システム担当者が、顧客情報を保管するデータベースサービスを境界で囲み、社内の許可された経路以外からのアクセスを遮断する目的で設定します。
- セキュリティ管理者が、退職者のアカウント情報が万一漏れても、重要なデータが外部に持ち出されないようにする対策として導入します。
- 複数の部署でクラウドを利用する企業が、部署ごとに異なる境界を設け、他部署のデータに誤ってアクセスできないよう区分けします。
中小企業が押さえたい点
- 導入には一定の技術知識が必要なため、クラウドベンダーや委託先のエンジニアと相談しながら設計するのが現実的です。
- 境界を厳しく設定しすぎると、業務上必要な外部連携やAPI連携まで止めてしまうことがあるため、業務フローを洗い出したうえで範囲を決める必要があります。
- 設定後も、新しいサービスの追加や組織変更に合わせて境界の見直しが必要になるため、運用担当を決めておくと安心です。
よくある誤解
- IDとパスワードの管理さえしっかりすれば十分と考えがちですが、認証情報が漏れた場合の二重の備えとして機能する点が異なります。
- ファイアウォールと同じものと誤解されることがありますが、対象はネットワーク機器ではなくクラウド上のサービスやデータの範囲です。
よくある質問
Q. 中小企業でも導入する必要がありますか。
A. 顧客情報や機密情報をクラウドで扱う場合は検討の価値がありますが、業務規模や扱うデータの重要度に応じて判断するのが妥当です。
Q. 導入すると業務が不便になりませんか。
A. 設定次第では外部サービスとの連携が制限されることがあるため、事前に必要な通信経路を洗い出してから設定することが重要です。
Q. 自社だけで設定できますか。
A. クラウドの構成やセキュリティ要件への理解が必要なため、専門知識を持つ担当者やベンダーとの連携が望まれます。
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