AIで作られた動画が、特別な編集スキルなしでも自然に見える時代になりました。便利な技術である一方、「自分が言っていないことを話している」「自分が出ていない動画に顔だけが使われている」といったディープフェイクやなりすましの不安は、クリエイターだけの問題ではありません。顔出しで発信する経営者、講師、採用担当者、店舗のオーナー、社員が出演する企業チャンネルにとっても、信用に直結するテーマです。
そこで注目したいのが、YouTubeの類似性検出(Likeness detection)です。これは、AIで生成・加工された可能性がある自分の顔を含む動画をYouTube内で探し、本人が内容を確認したうえで対応を選べる機能です。YouTube公式ヘルプの「類似性検出」では、本人の「顔の類似性」を対象にした安全機能として説明されています。
2026年5月には、YouTubeが18歳を超える対象クリエイターへ類似性検出を段階的に広げると告知しました。さらに9月には、モバイル対応と、話し声の検出を顔の検出と組み合わせる方針も発表しています。ただし、見つけることと自動的に削除されることは同じではありません。本記事では、2026年10月4日時点の公式情報を基に、類似性検出の仕組み、利用条件、検出後の判断、そして今からできるディープフェイク対策を整理します。
YouTubeの「類似性検出」とは?

YouTubeの類似性検出は、登録したクリエイターの顔が、AIによって生成・加工された可能性のある動画に含まれていないかを探す機能です。検出結果はYouTube Studioに表示され、本人が動画を見て「問題はない」「プライバシー侵害として申請する」「著作権の申請を検討する」といった対応を選べます。
イメージとしては、著作物の一致を扱うContent IDに近い仕組みです。ただし、照合するのは映像や音源の著作権ではなく、本人の顔というアイデンティティです。YouTubeは、登録した人の顔の類似性を探す点でContent IDと似ていると説明していますが、類似性検出が著作権侵害を自動判定するわけではありません。
公式ヘルプによると、システムは新規にアップロードされる動画を対象に、登録者の顔が含まれる可能性を一回の検索で探します。表示されるのはあくまで「候補」です。AIが顔の一致を疑ったとしても、本人の過去動画を正当に引用したもの、コラボレーション動画、あるいはAI生成ではない実写の切り抜きである可能性があります。だからこそ、最終判断を人に残す設計になっています。
ここで混同しやすいのが、投稿者側のAIコンテンツの開示ラベルです。YouTubeでは、実在人物がしていない発言や行動をしたように見せるなど、実写的なAI生成・大幅加工コンテンツについて、投稿者に開示を求めています。生成AIコンテンツの開示ルールは視聴者に「AIで作成・加工された可能性」を伝えるためのものです。一方、類似性検出は、本人が自分の顔の不正利用の可能性を把握し、申請の入口に進むためのものです。両者は目的も利用者も異なります。
投稿者側のルールや、AI音声・AI映像を使った動画が収益化でどのように扱われるかを詳しく知りたい場合は、AIで作ったYouTube動画の収益化とAI使用の開示に関する解説もあわせて確認してください。類似性検出は「なりすまされる側」の保護に関わる機能ですが、発信する側がAIをどう使い、どの場面で開示するかも、視聴者との信頼を守るための重要な論点です。
なぜYouTubeは類似性検出を強化しているのか

生成AIで「本人そっくりの動画」を作るハードルが下がった
これまで、人物になりすます動画を作るには、素材の収集、編集技術、音声加工など一定の手間が必要でした。現在は、短い動画や写真、音声が公開されていれば、顔の表情や話し方をまねたコンテンツを作れるサービスが増えています。作成側のハードルが下がるほど、本人が気づかない場所で誤解を生むリスクも高まります。
たとえば、経営者が実際には推奨していない商品を勧めているように見せる動画、講師が投資や健康に関する断定的な発言をしたように見せる動画、採用担当者が不適切な発言をしているように見せる動画は、視聴者の判断を誤らせるおそれがあります。本人に悪意がなくても、偽動画を見た人が「本当に本人が話した」と受け取れば、評判や取引先との信頼に影響します。
YouTubeがこの機能を出す背景には、生成AIの活用を広げながら、本人の尊厳と視聴者の信頼を守る必要があるという事情があります。YouTubeは当初、YouTubeパートナープログラムのクリエイター向けに導入を進めました。その後、2026年5月のTeamYouTubeの告知で、18歳を超えるすべての対象クリエイターへ順次展開する方針を明らかにしています。現在は「YPP加入者だけの機能」とは捉えない方が正確です。
有名人だけでなく、一般の発信者にもリスクがある
ディープフェイクという言葉から、著名人や政治家だけの問題を想像する人もいるかもしれません。しかし、企業の代表者、地域で知られる店舗のオーナー、動画で商品を紹介する担当者、学校や士業の講師なども、なりすましの対象になり得ます。特に、顔と名前、勤務先、連絡先が公開されている場合は、偽の勧誘や詐欺に悪用される余地があります。
一般の発信者にとって厄介なのは、発見の遅れです。動画が一度拡散すると、切り抜きや再投稿によって対応が難しくなることがあります。類似性検出は、すべての偽動画を防ぐ魔法の仕組みではありません。それでも、プラットフォーム内で自分の顔が使われた可能性を早く知るための窓口が増えることには大きな意味があります。
YouTubeの類似性検出はどうやって使う?

利用条件と現在の提供範囲を確認する
2026年5月の公式告知では、18歳を超える対象クリエイターへ順次展開すると案内されています。ただし、誰でもその場ですぐ使えるとは限りません。公式ヘルプの詳細条件では、機能は実験的で一部の国・地域では利用できないこと、設定する人がチャンネルの所有者または管理者であること、本人確認を完了することが示されています。
つまり、YPPへの参加そのものを現在の必須条件と考える必要はありませんが、年齢、国・地域、チャンネル権限、本人確認という条件は残ります。自分のチャンネルで使えるかは、まずYouTube Studioに「コンテンツ検出」内の類似性検出が表示されているかを確かめるのが確実です。
また、チームで運用しているチャンネルでは注意が必要です。カメラに出演する人ごとに登録が必要になるため、代表者だけを登録しても、他の出演者の顔まで自動的に保護されるわけではありません。本人が出演するか、本人の同意を得られるかを確認したうえで、必要な人がそれぞれ登録する運用を考えましょう。
YouTube Studioから設定する

利用できる場合は、パソコンでYouTube Studioを開き、左側メニューの「コンテンツ検出」→「類似性」→「今すぐ開始」へ進みます。
設定時には、YouTubeが生体認証技術を用いてYouTube内で顔の類似性を探すことへの同意を求められます。ここは単なる通知設定ではありません。どのデータを何のために使うのか、検出モデルの改善に任意で協力するか、停止した場合に何が変わるのかを確認してから進めることが大切です。
身分証明書とセルフィー動画で本人確認する
登録では、政府発行の顔写真付き身分証明書と、短いセルフィー動画を提出してGoogleの本人確認を完了させます。本人確認には最大5日かかる場合があります。セルフィー動画は、なりすまし目的の登録を防ぐだけでなく、本人の顔を探すための参照データとしても使われます。
「なぜそこまでの確認が必要なのか」と感じるかもしれません。もし誰でも第三者の名前で登録できれば、悪意ある人が他人の動画を勝手に非表示にしようとするなど、仕組み自体が悪用されかねません。強い権利保護の機能ほど、申請者が本人であることを確かめる工程が重要になります。
検出された動画を確認する
設定後に候補が出たら、YouTube Studioの「コンテンツ検出」→「類似性」→「確認する」から確認します。候補は総視聴回数や投稿チャンネルの登録者数で絞り込めるため、拡散規模が大きいものから優先して確認できます。
ただし、再生数が少ないからといって放置してよいとは限りません。詐欺や誹謗中傷を目的とする動画は、視聴回数よりも、説明欄のリンク先やコメント欄での誘導に問題がある場合があります。動画そのものだけでなく、タイトル、サムネイル、説明文、固定コメント、外部サイトへの誘導も一緒に見ましょう。
自分そっくりのAI動画が見つかったらどうする?

まずは「何が問題なのか」を切り分ける
候補を見つけたときは、すぐに削除申請へ進む前に、事実を整理します。自分が許可した広告素材やコラボ動画ではないか。実写の過去映像を切り抜いただけなのか。顔をAIで差し替えたり、実際にはしていない発言をさせたりしているのか。動画の目的は批評、風刺、ニュース、勧誘、詐欺のどれに近いのか。この確認で、選ぶべき対応が変わります。
確認する際は、動画URL、チャンネル名、公開日時、再生数、問題のタイムスタンプ、スクリーンショットを記録しておくとよいでしょう。申請フォームの入力や社内共有がしやすくなります。外部の詐欺サイトへ誘導している場合は、YouTube上の対応だけでなく、被害拡大を防ぐための社内連絡や専門家への相談も検討してください。
問題がなければアーカイブできる
候補に問題がなければ、アーカイブを選べます。アーカイブは動画をYouTubeから消す操作ではなく、自分の確認リストから移す操作です。あとから見直し、必要に応じてプライバシー申立てに進むこともできます。
この選択肢があることで、「顔が映っている動画はすべて削除する」という極端な対応を避けられます。正当な引用、報道、ファンによる紹介、過去に許諾した二次利用まで一律に排除するのではなく、文脈ごとに判断する姿勢が重要です。
顔や声のなりすましならプライバシー申立てを検討する
AIで作成・加工された動画が、自分の顔や声を現実的に再現し、本人が言っていないことを言ったように見せている場合は、プライバシー申立てを検討します。類似性検出の画面から「類似性の削除リクエスト」を選ぶと、YouTubeのプライバシー申立て手続きへ進めます。
YouTubeが削除判断で見るのは、AI加工の有無だけではありません。本人のアイデンティティ保護に関する基準によると、本人を一意に特定できるか、現実的な表現か、AIであることが開示されているか、パロディや風刺、公益性があるかなどを総合的に見ます。つまり、検出された=必ず削除ではありません。申請する本人が、どの場面がどのように誤解や侵害につながるのかを具体的に説明することが大切です。
申請後に考えが変わった場合は、YouTubeから届く確認メールのリンクを使って申請を取り下げられます。誤って申請した可能性があるときに、修正する道が用意されている点も確認しておきましょう。
実写映像や音源の無断転載なら著作権の問題もある
顔が似ていることと、著作権を侵害していることは別の問題です。たとえば、AIで作った「あなた風」の映像であっても、あなたが著作権を持つ動画や写真を直接使っていなければ、著作権申請が適切とは限りません。この場合は、プライバシーや人格に関わる申立てを検討する場面です。
反対に、自社の公式動画、撮影した写真、ナレーション音源などが無断で使われているなら、著作権削除申請を検討できます。ただし、著作権申請は法的な手続きであり、著作権の例外や投稿者へ共有される情報にも注意が必要です。公正利用などの例外を確認し、判断に迷う場合は法律の専門家に相談してください。
顔だけでなく「声」も検出できるようになる?

ここは、2026年秋の更新を踏まえて理解したいポイントです。公式ヘルプで現時点の照合対象として明記されているのは、登録クリエイターの顔です。音声を使ったなりすましを見つけた場合は、現時点でもプライバシー申立てによる報告ができますが、顔と同じ仕組みで「声だけ」を自動検出できるとは、公式には案内されていません。
一方、YouTubeは2026年9月23日、話し声の検出を顔の検出と統合する方針を発表しました。目的は照合精度を高め、本人の類似性をより守りやすくすることです。同じ発表では、類似性検出をモバイルに提供し、登録、候補アラートの受信、対応までをスマートフォンで行えるようにする方針も示されています。
ただし、ここで過大に期待しないことも大切です。公式発表は、音声を顔の照合に組み合わせて精度を高める方針を示したもので、顔が映らない声だけのクローン動画を単独で検出できるか、いつからどの国で使えるかまでは明示していません。業界報道では年内の統合開始予定とも伝えられていますが、公開日や詳細仕様は変わる可能性があります。したがって、声だけのなりすましを見つけた場合は、機能追加を待つのではなく、プライバシー申立ての基準を確認して手動で報告するのが現実的です。
音声は顔よりも誤認が起きやすい場合があります。「似ている声」だけではなく、名前、顔写真、肩書き、公式チャンネルに似せた名称、本人らしい話題が組み合わさると、視聴者は本人の発言だと思いやすくなります。声の被害を見つけたら、音声部分だけでなく、動画全体がどう本人性を演出しているかを記録して申請に反映しましょう。
本人確認データは何に使われる?同意画面で見るべき点

類似性検出は生体情報を扱うため、設定時にはデータの用途を理解しておく必要があります。公式ヘルプによると、政府発行IDとセルフィー動画は本人確認に使われ、セルフィー動画とYouTube上の本人画像は顔の類似性を探す参照情報にも使われます。短いセルフィー動画、氏名、類似性テンプレートには識別子が付与され、最後にYouTubeへログインしてから最長3年間、YouTubeの内部データベースに保存されると説明されています。機能への同意を撤回するかアカウントを削除した場合は、この情報を削除するとしています。
重要なのは、「生成AIの学習には一切使われない」と単純化しないことです。公式FAQの表現は、同意なしにはGoogleの生成AIモデルの学習に使われないというものです。加えて、登録時には、顔・声のテンプレートを類似性検出モデルの開発・改善に使うことを任意で許可する選択肢があります。この任意同意はYouTube Studioで撤回できます。
つまり、本人確認と機能提供に必要なデータ処理、生成AIモデルへの利用、類似性検出モデルの精度改善への協力は、同じ意味ではありません。登録前には、同意画面で対象となるデータ、任意のチェック項目、保存期間、撤回方法を確認しましょう。本人確認用の政府発行IDの情報はGoogleのPayments Profileにも保存され、ユーザーがアクセス・削除できると案内されています。
類似性検出を使えば、すべてのディープフェイクを防げる?

残念ながら、答えは「いいえ」です。類似性検出は有効な発見手段ですが、完全な防御壁ではありません。YouTube自身も実験段階でソフトウェアを調整していると説明しており、登録していても候補に出ない動画があり得ます。見逃しが起きる具体的な条件は公式には示されていないため、「この映り方なら検出されない」といった断定はできません。気になる偽動画を自分で見つけた場合は、候補に表示されていなくても通常のプライバシー申立てから報告できます。
次に、検出は削除の保証ではありません。パロディや風刺、報道、公益性などの文脈は、表現の自由とも関係します。本人にとって不快であることと、YouTubeの基準で削除されることは常に一致しません。だからこそ、申請前に「どの場面が本人と誤認されるのか」「どんな具体的被害や誤解が起きるのか」を整理する必要があります。
さらに、実際の自分の顔が映る動画も候補に出る場合があります。YouTubeは、登録者の過去動画の短い切り抜きなどが表示される可能性を案内しています。AI生成ではない実写の無断転載なら、プライバシーではなく著作権の対応が必要になることがあります。検出結果を「AIの偽動画一覧」と決めつけず、内容を一件ずつ確認してください。
また、対象範囲はYouTube内です。Instagram、TikTok、X、広告ネットワーク、独自サイトにある偽動画まで横断して見つけてくれるわけではありません。YouTubeで有効化したからといって、インターネット上のなりすまし対策が完了するわけではない点を押さえておきましょう。
クリエイターや企業が今からできるディープフェイク対策

利用できる場合は類似性検出に登録する
顔出しが事業や発信に直結しているなら、利用条件を満たす時点で登録を検討する価値があります。特に代表者、広報担当者、講師、商品の顔となる出演者は、対象動画が増えてから準備するより、平時に本人確認を済ませておく方が対応しやすいでしょう。チーム運用では、誰が所有者・管理者か、誰が候補を一次確認するかを決めておくと混乱を減らせます。
自分の名前・顔・動画を定期的に確認する
類似性検出の有無にかかわらず、自社名、代表者名、商品名、公式チャンネル名で定期的に検索する習慣を持ちましょう。偽動画は動画タイトルに本人名が入っていない場合もあるため、顔写真を使ったサムネイル、公式に似たロゴ、誤字を含むチャンネル名なども確認対象です。
企業では、発見者が個人で抱え込まないよう、報告先を一本化することが重要です。たとえば「発見→URLと画面保存→広報・法務・情報システムへ連絡→事実確認→プラットフォーム申請→顧客向け案内の要否を判断」という流れを文書化しておくと、緊急時にも判断が早くなります。公式サイトや公式SNSのプロフィールに正規アカウントの一覧を示しておくことも、視聴者が偽物を見分ける助けになります。
自分たちがAIを使うときも透明性を守る
対策は「被害者になること」を想定するだけではありません。自社が生成AIを使って動画、音声、画像を作る側になる可能性もあります。実在人物がしていない発言・行動をリアルに見せる場合は、YouTubeの開示要件を確認し、視聴者が誤解しない表現にすることが必要です。ラベルの有無だけに頼らず、動画内や説明欄でAI利用の範囲を明確に伝える姿勢が、長期的な信頼につながります。
デジタルレクリムでは、生成AIを事業に取り入れる際に必要な考え方や活用例をAIに関する実務解説として発信しています。AIを単なる省力化の道具として扱うのではなく、情報の正確性、権利、顧客との信頼まで含めて設計することが、これからの企業発信には欠かせません。
AIを活用して動画を制作・公開する際のツール選び、AI映像の申告、量産型コンテンツを避ける考え方については、生成AI動画をYouTubeで使うためのルールと実践ポイントで詳しく解説しています。類似性検出を使うかどうかにかかわらず、発信者自身がAI利用のルールを理解しておくことは、不要な誤解やトラブルの予防につながります。
アカウントと素材の管理を見直す
ディープフェイクの被害と、アカウント乗っ取りは別の問題です。しかし、公式チャンネルが乗っ取られれば、本人の動画として偽情報を発信される危険があります。Googleアカウントでは2段階認証プロセスを有効にし、共有アカウントではなくチャンネル権限で役割を分けましょう。
また、公式動画の元データ、公開日時、出演者の同意記録、撮影契約を整理しておくと、無断転載やなりすましに対応するときの根拠になります。素材を厳重に隠すことだけが正解ではありません。誰が何を使えるか、公開素材をどう管理するか、問題が起きたら誰が判断するかを決めておくことが、現実的なリスク管理になります。
ディープフェイクを含む生成AIのリスクを、単発の動画トラブルとして扱わず、社内ルールや連絡体制まで含めて整えたい場合は、生成AI導入で起こりやすい失敗事例と対策も参考になります。導入前の準備、セキュリティ、コンプライアンス、社内リテラシーを一緒に見直すことで、問題が起きた際の初動を早めやすくなります。
YouTubeの類似性検出に関するよくある質問


Q1. 一般ユーザーでも類似性検出は使えますか?

A. 2026年5月の公式告知では、18歳を超えるすべての対象クリエイターへ段階的に広げる方針が示されました。そのため、現在はYPP参加者だけに限定された機能ではありません。ただし、公式ヘルプではチャンネルの所有者または管理者であること、本人確認を終えること、利用できない国・地域があることを条件として挙げています。まずはYouTube Studioで「コンテンツ検出」内に類似性検出の項目があるかを確認しましょう。

Q2. 自分の顔が少しだけ映っている動画も検出されますか?

A. YouTubeは検出の詳しい閾値や、どの映り方なら検出できるかを公表していません。公式に確認できるのは、機能が実験段階であり、AIで加工・生成された動画を見逃すことがあるという点です。候補に出ないことだけで安心せず、気になる動画を自分で見つけた場合は、通常のプライバシー申立てを利用してください。

Q3. AIで作られた自分の声も削除できますか?

A. 自分の声に聞こえるAI加工・合成コンテンツについては、現時点でもプライバシー申立てを利用できます。YouTubeは2026年9月に、話し声の検出と顔の検出を統合する方針を発表しましたが、声だけのクローン動画を単独で自動検出できる仕様は明らかになっていません。申立てでは、声だけでなく、名前、顔、肩書き、動画の文脈から本人と認識されるかが重要です。

Q4. 本人確認用の顔データは何に使われますか?

A. 政府発行IDとセルフィー動画は本人確認に使われ、セルフィー動画とYouTube上の本人画像は顔の類似性を探す参照情報にも使われます。公式FAQでは、設定データは同意なしにはGoogleの生成AIモデルの学習に使われないと案内されています。一方で、顔・声テンプレートを類似性検出モデルの開発・改善に使うことは、任意で許可できます。この同意は撤回可能です。短いセルフィー動画、氏名、類似性テンプレートは、最後のYouTubeログインから最長3年間保存されると説明されています。

Q5. 類似性検出で見つかった動画は、必ず削除されますか?

A. いいえ。検出は確認のきっかけであり、削除の自動判定ではありません。本人がプライバシー申立てを行った後、YouTubeは本人の識別可能性、表現の現実性、AI開示の有無、パロディ・風刺・公益性などを考慮して判断します。問題がなければアーカイブし、判断に迷う場合は内容を記録したうえで専門家に相談する選択肢もあります。

Q6. 自分の過去動画が無断で切り抜かれていた場合も、類似性検出で対応できますか?

A. 候補として表示される可能性はありますが、実写の無断転載は「顔のなりすまし」ではなく「著作物の無断利用」が中心になる場合があります。自分または自社が著作権を持つ映像・音源が使われているなら、著作権削除申請を検討してください。ただし、引用や公正利用などの例外もあり得るため、単に自分が映っているという理由だけで著作権侵害とは判断できません。
まとめ|AI時代は「自分の顔や声を守る」機能も重要になる

YouTubeの類似性検出は、AIで生成・加工された可能性のある自分の顔を、YouTube内で見つけるための安全機能です。2026年5月以降は対象クリエイターへ段階的に広がり、9月にはモバイル対応と、話し声を顔の検出と統合する方針も示されました。本人確認を済ませたうえで候補を確認し、問題がなければアーカイブし、なりすましであればプライバシー申立て、著作物の無断利用であれば著作権申請を検討します。大切なのは、検出結果を鵜呑みにせず、動画の内容と被害の性質を切り分けることです。
AIに携わる者としての私見を述べると、生成AIを巡る議論は「作れるか、作れないか」だけでは不十分です。人の顔、声、名前、信用は、本人の創作や事業活動の土台でもあります。だからこそ、生成の自由と同じくらい、本人が見つけ、確認し、異議を申し立てられる導線が重要になります。類似性検出は完成された万能策ではありませんが、AIの便利さと人の権利を両立させるための、実務的な一歩だと考えます。
企業が生成AIを活用する際は、制作効率だけでなく、透明性、権利確認、緊急時の対応フローまで整えておくことが必要です。AI活用と信頼できる情報発信の設計について相談したい場合は、デジタルレクリムのAIソリューションや無料相談をご活用ください。























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